京成電鉄の2025年12月ダイヤ改正を解析する

記事上部注釈
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使い勝手が意外と変わった、京成電鉄の2025年12月ダイヤ改正。その内容を解析しました。

写真1. 快速特急成田行きと快速成田空港行きの接続(京成佐倉で撮影)

京成電鉄の2025年12月ダイヤ改正の要点まとめ

最初に簡単にダイヤ改正で変更になった点を示します。

  1. 朝夕のダイヤパターンは大きくは変わらない
  2. 日中のダイヤパターンは構成こそ変わらないものの、本線と押上線の接続状況が変わった
  3. 全般的に時刻調整が多く、定時制向上に寄与すると想定できるが、利便性は低下している

詳細は以下に示します。

京成電鉄の2025年12月ダイヤ改正のプレスリリースの要点

写真2. スカイライナーの人気は高い(2025年8月に日暮里で撮影)

2025年12月ダイヤ改正のプレスリリースの要点は下記の通りです。

  • スカイライナーの増発とスピードアップ
  • 千葉線と松戸線の直通運転増加
  • そのほかの調整

図1. 京成ダイヤ改正の訴求点(京成電鉄公式サイトに掲載のPDFより引用)

20時台の成田空港発のスカイライナーが20分間隔に増発されます。このことにより、成田空港断面で9時台~22時台まで毎時3本のスカイライナー運転が約束されました(下りは5:40~17:40が毎時3本運転)。成田空港の離着陸は6:00~24:00に限定されていることもあり、このことを踏まえた運転時間帯設定と感じます(スカイライナーの成田空港到着時刻は6:24~21:13、成田空港出発時刻は7:23~23:00)。

また、日中時間帯の青砥と新鎌ケ谷停車タイプのスカイライナーがスピードアップします。例えば、始発駅12時台発車のスカイライナーの時刻は以下の通りです(表1、表2)。

表1. 日中時間帯の下りスカイライナーの運転時刻比較

京成上野成田空港所要時間
改正前12:3713:2851分
改正後12:3513:2449分

表2. 日中時間帯の上りスカイライナーの運転時刻比較

成田空港京成上野所要時間
改正前12:1313:0653分
改正後12:1913:0950分

このように青砥と新鎌ケ谷停車便は2~3分所要時間が短縮されています。もともと上りスカイライナーの所要時間が長いのは、成田空港→空港第2ビルで所要時間がかかるためです(京成が外部にPRしている所要時間36分というのは、日暮里と空港第2ビルの間を指します)。

このほか、千葉線と松戸線の直通運転が増加します。従来は松戸発8:41~15:40(千葉中央着9:45~16:42)、千葉中央発10:00~16:59(松戸着11:02~18:04)でした。これは2007年4月時点とあまり変わりません。これを朝と夕方に拡大しています。具体的には、松戸発7:58、8:21、16:00、16:20とその折り返しの千葉中央発9:29、9:49、17:18、17:41です。プレスリリースには松戸から千葉への通勤や所用に力点を置いた記述ですが、実際には4往復の直通増加です。松戸線が京成電鉄に編入されて初のダイヤ改正とあり、既存の京成電鉄線との直通を強化した形です。

このほか、「一部の列車において発着時刻や運転区間、種別等を変更します。」とも記載されています。実はこれが大きな衝撃だったのです。

京成電鉄の時間帯別のダイヤを解析する

写真3. 朝ラッシュ時の通勤特急は維持された

そこで、時間帯別のダイヤを解析します。

朝ラッシュ時上り

朝ラッシュ時の京成本線は6分40秒サイクルに近似できる、20分サイクルです。以下の構成です。

  • 快速特急:京成成田(かそれ以遠)→都営浅草線直通、20分に2本運転
  • 通勤特急:京成成田(かそれ以遠)→京成上野、20分に1本運転
  • 普通:20分に3本運転(京成高砂以西は20分に4本運転)

勝田台以西は6分40秒(20分を3で割った時間)サイクルに速達列車1本、普通1本の構成です。ただし、続行となる快速特急は3分20秒の時刻調整を行い、押上線に入る段階では10分間隔にします(続行になる快速特急を時刻調整するほうが時刻調整そのものは半分で済みますが…)。

通勤特急は(朝ラッシュ時の主方向の)都営浅草線に向かいませんが、北総線からの特急と相互接続します。こうして北総線からの上野方面の流動と京成本線から都営浅草線方面の頻度を両立させています。京成電鉄は列車の速度で総武線に劣る一方、このような接続で限られた本数で利便性を確保しています。この強みはダイヤ改正後も維持されます。

日本橋に朝8:30ごろに到着する列車の所要時間を比べます(表3)。

表3. 改正前後の快速特急の時刻比較

改正前改正後
京成成田7:117:11
京成佐倉7:217:21
勝田台7:317:31
京成船橋7:497:49
日本橋8:298:29

1列車というミクロな指標で比べましたが、利便性は確保されていることがわかる一例です。

日中時間帯

40分サイクルで運転され、その内訳は以下の通りです(ダイヤ改正前)。

  • 快速特急:1本(京成上野-京成成田)
  • 快速:3本(西馬込-成田空港2本、京成上野-京成佐倉1本)
  • 普通:4本(京成上野-京成津田沼3本、京成上野-京成臼井1本)

軸となるのは、快速特急です。これが40分間隔で運転され、その間を埋めるように、京成上野発着の快速も40分間隔で運転されます。両者を合わせて京成上野-京成津田沼は約20分間隔の速達列車が運転されます。

メインとなる区間の速達列車が20分間隔では少ないですから、これを埋めるように都営浅草線発着の快速が20分間隔で運転され、青砥-京成津田沼は速達列車が平均10分間隔で運転されます。

普通は速達列車の間を10分間隔で運転されます。下りは京成小岩(京成上野発着速達列車のみ)、東中山、京成津田沼で抜かれるか緩急結合があります。上りは京成津田沼、東中山、京成高砂です。

ここまで見ると完成度が高そうなダイヤですが、京成上野から大佐倉(京成佐倉より1つ成田空港よりの駅)以遠の有効列車が3分-37分と偏っています。これは、快速特急は佐倉で前の快速成田空港行きに連絡しますが、その20分後の快速京成佐倉行きは(所要時間差が7分あるので)成田空港行きに連絡できないためです。

ダイヤ改正でこのような骨格は維持されたものの、以下の点が変更されます。

  1. 都営浅草線直通の快速は都営側の発着駅を西馬込から羽田空港に変更
  2. 京成上野発着の快速は発着駅を京成臼井に短縮し、そのぶんの普通を京成臼井-京成佐倉を延長運転
  3. 青砥や京成高砂での速達列車どうしの相互接続を放棄
  4. アクセス特急の鈍足化

都営浅草線の北側を利用する人にとっては、快速の発着駅が西馬込であろうと羽田空港であろうと関係ありません。また、京成上野発着の快速が京成佐倉発着だろうと京成臼井発着であろうと影響を受ける人は多くありません。しかし、青砥や京成高砂での速達列車どうしの相互接続を放棄するのはどうかしています。

ダイヤ改正前は、以下の速達列車が青砥または京成高砂で相互接続していました。

  1. 京成上野-京成成田の快速特急と、羽田空港-(成田スカイアクセス線経由)成田空港のアクセス特急(40分間隔)
  2. 京成上野-京成佐倉の快速と都営浅草線-青砥の特急(40分間隔)
  3. 京成上野発着普通と都営浅草線発着の快速

1と2によって、都営浅草線-京成本線の速達列車の乗車チャンスは10分に1回(20分間隔の快速もあるため)確保されていました。また、40分間隔ですが、(アクセス特急利用により)京成上野と北総線の速達輸送も可能でした。

また、3によって、京成上野や日暮里を基準に見た場合、(京成高砂以東の)京成本線各駅の有効列車はかろうじて20分に2本確保されていました。

このような接続は限られた本数で最大限の利便性を確保するための工夫ともいえました。

これがダイヤ改正で放棄されました。具体的には以下の通りです。

  • 快速特急の接続相手は普通(西馬込-北総線)に変更
  • 快速(京成上野発着)に接続する列車はアクセス特急に変更、接続時間は下りは3分、上りは5分に増大

このことにより、快速特急を利用する場合の時刻はこのようになりました(表4、表5)。

表4. 日本橋から京成本線方面の時刻比較

改正前改正後
日本橋12:1412:00
京成船橋12:4512:37
勝田台13:0012:52
京成佐倉13:0913:01
京成成田13:1813:10

表5. 京成本線方面から日本橋の時刻比較

改正前改正後
京成成田12:0512:13
京成佐倉12:1312:22
勝田台12:2212:30
京成船橋12:3812:46
日本橋13:1013:24

このように日本橋-京成船橋以遠の移動の場合は、7分程度の所要時間増加です。これは利便性低下に直結します。また、相互接続を放棄したことにより、速達列車の実質的な運転間隔が乱れ、実質的な待ち時間が増えたことも今回のダイヤ改正の弱点です。

ただし、救いは下りの快速特急の京成上野-京成成田の所要時間は64分で維持、一部の上りは所要時間64分から62分と2分の短縮となっていることです。

このほか、アクセス特急の所要時間が増加しています。上下1本ずつを比較します(表6、表7)。

表6. アクセス特急の時刻比較(成田空港行き)

改正前改正後
羽田空港11:4411:43
日本橋12:1412:15
東松戸12:4512:45
新鎌ケ谷12:4912:49
成田空港13:1813:33

表7. アクセス特急の時刻比較(成田空港発)

改正前改正後
成田空港12:0411:48
新鎌ケ谷12:3412:34
東松戸12:3912:39
日本橋13:1013:10
羽田空港13:3913:39

このほか、上野-青砥の普通の運転間隔が乱れ、120分に2回(40分に1本だが120分間隔で回避)だけ千住大橋で8分待避があります。全般的に本数が維持されながらも時刻調整や接続放棄といった利便性低下、トレインアワー増大といった一見「誰も得しない」ダイヤに変わります。

これらの変更にともない、北総線普通の都営側の発着駅が羽田空港から西馬込に変更され、押上線内の種別や京急側の発着駅の組み合わせが変更されます。

負の側面が目立った背景の考察

鉄道会社側も好んでダイヤを不便にはしないでしょう。そこで、その背景を探ります。

考察1. 青砥や高砂での接続放棄の背景

最初に青砥や高砂での接続放棄の背景を考察します。アクセス特急の設定時刻が大きく変わっていないことから、京成側の快速特急の時刻が変わっています。具体的には下りの京成成田到着が8分繰り上がっています。このことは、快速成田空港行きも8分繰り上がることを意味します。では、ダイヤ改正後の時刻から8分繰り下げてみましょう。この時刻で成田空港付近の単線区間の処理が可能かどうかの検証です。

  • (下り)京成成田14:35/14:3914:43/14:45→空港第2ビル14:45/14:4714:51/14:53→成田空港14:4914:55
  • (上り)成田空港14:5414:46→空港第2ビル14:56/14:5714:48/14:49→京成成田15:04/15:1114:56/15:03

これに20分間隔のスカイライナーを重ねます。

  • (下り)空港第2ビル14:41/14:41→成田空港14:43
  • (上り)成田空港14:38→空港第2ビル14:40/14:42

これなら快速とスカイライナーは干渉しません。では、(ダイヤ改正前の)アクセス特急と重ねます。

  • (下り)空港第2ビル14:36/14:36→成田空港14:38
  • (上り)成田空港14:44→空港第2ビル14:46/14:47

空港第2ビルと成田空港の間でみごとに時刻が干渉しません。すなわち、ダイヤ改正後の快速特急の時刻を従前どおりに修正することは物理上可能な点を指摘できます。

他方、京成上野側の運転時刻を考察します。

  • (速達型スカイライナー)京成上野14:00
  • (ダイヤ改正後快速特急)京成上野14:05
  • (接続改善後快速特急)京成上野14:13
  • (停車型スカイライナー)京成上野14:15(考察のしやすさを考慮し14:35発から20分早い時間帯を考察)

いちおうは設定可能ですが、青砥あたりで列車が詰まる原因になるのは明らかです。そうであれば、京成上野発時刻をもう2分程度早め、高砂で詰まることを防ぐことは可能でした。

快速特急を軸にし、従前どおりの接続を維持することが可能であることがわかりました。よって、スカイライナーの所要時間短縮にともなう時刻変更によるものでなく、接続解除による定時制確保でしょう。

考察2. アクセス特急の所要時間増加の背景

アクセス特急の所要時間が印旛日本医大以東で増加しています。これは、アクセス特急の所要時間を伸ばす理由が印旛日本医大以東であることを示します。

従来、下りアクセス特急は成田湯川12:29→空港第2ビル12:36→成田空港12:38で運転されていました。その後、12:39に上りスカイライナーが成田空港を発車します。

この場合、下りアクセス特急が1分でも遅れた場合、上りスカイライナーの定時運転が不可能です。この影響が京成系全体に波及します。ただし、この前提がアクセス特急の余裕を押上で空費しており、京成線内での回復運転が難しい点も指摘できます。そうであれば、(接続のための停車時間を捻出するほかは)アクセス特急の時刻調整を成田湯川で実施し、単線区間での余裕時分を確保する手法は選択可能でした。これは空港第2ビル-成田空港が単線であるゆえの制約事項であり、同区間の複線化がなされれば下りアクセス特急を待たずして上りスカイライナーが成田空港を発車可能となり、定時制は向上します。

ではどうすれば良いのか?

ここまである程度解釈しました。やや無理のあるダイヤです。これはひとえにスカイライナーの青砥・新鎌ケ谷停車による所要時間のずれに起因します。これはインバウンド需要がほぼ消失した状況下での需要掘り起こし策によると理解できます。いまやインバウンド需要は戻りました。

そうであれば、スカイライナーを元のノンストップに戻し、アクセス特急を20分間隔に増発、そして当該の一部指定制とします。こうすれば、上りか下りはダイヤ改正前の所要時間を維持、もう一方はダイヤ改正後の所要時間と見込めます。片方の所要時間が増えたままというのは(私のダイヤ作成能力について)感心しませんが、それでも所要時間の平均がダイヤ改正前後の中間であり、かつ混雑するアクセス特急を20分間隔で設定するのは魅力でしょう。

それに合わせ、京成津田沼-京成佐倉で40分間隔で増発、京成佐倉-京成成田で40分間隔の減便という組み合わせで、京成上野発着快速と京成上野発着の快速特急を京成上野発着の特急に統一します(本記事冒頭の写真をみてわかる通り、快速特急の京成佐倉-京成成田は空いているので削除対象としました)。そして、これらを青砥または京成高砂で相互接続させます。さらに利用状況を反映し、(都営浅草線内の通過運転は需要が少ないことから)アクセス特急は都営浅草線内を各駅に停車させます。これで青砥以南は10分サイクルを構築できます。よって、シンプルで遅れに強いダイヤになります。

これらをまとめると20分サイクルで以下の構成です。

  • スカイライナー1本(京成上野-成田空港、成田スカイアクセス線経由)
  • アクセス特急1本(羽田空港-成田空港、都営浅草線内各駅に停車)
  • 特急1本(京成上野-成田空港、アクセス特急と相互接続)
  • 快速1本(羽田空港-佐倉、品川-青砥はアクセス特急と合わせ10分間隔)
  • 京成上野発着普通2本(京成上野-京成津田沼1本、京成上野-京成臼井1本)
  • 押上線普通2本(西馬込-北総線1本、京急本線-青砥1本、青砥以南10分間隔)

いわば2014年11月ダイヤ改正のダイヤからアクセス特急を2倍に増発、かつ快速の時刻調整なしというものです。

補足

この想定案では京急線内も2022年ダイヤ改正のパターンに復帰することを想定しています。ただし、20分間隔の品川-京急蒲田の普通はカット、羽田空港-京急川崎の急行の半数をカット(急行は京急川崎以南で10分間隔、羽田空港発着は20分間隔)とし、それで浮いたリソースで品川-羽田空港の特急を設定(平和島で後続のエアポート快特待ち)し、最大多数の最大幸福を目指したダイヤ構成です。

夕方ラッシュ時

京成本線内は20分サイクルと近似でき、下記の構成です。

  • 快速特急:都営浅草線-京成成田(一部は成田空港行きや芝山千代田行き)
  • 特急:都営浅草線-京成成田(一部は成田空港行きや芝山千代田行き)
  • 普通:京成上野-京成佐倉(一部は宗吾参道行き、京成成田行き)

これに加え、押上線内は都営浅草線-北総線の普通が10分間隔、都営浅草線-青砥の普通が10分間隔で加わります。また、アクセス特急は京成上野発着が主力であり、約30分間隔です。また、京成上野-京成高砂の快速が30~40分間隔で設定され、終点で都営浅草線からの速達列車に接続します。さらに30~40分間隔で京成上野-京成高砂の普通も設定され、同区間は10分に1本より多い本数の普通が設定されています。

このようなダイヤの基本骨格や接続は変わっておらず(京成上野-京成高砂間普通、京成高砂からアクセス特急という列車も継続設定)、この時間帯のダイヤは継続という印象です。

京成電鉄のダイヤ改正の概要を俯瞰して

写真4. 松戸駅の乗りかえ改札も「京成線」に変わり同じ会社であることを印象付ける(2025年7月に撮影)

今回、京成電鉄はダイヤ改正を実施しました。本数維持、接続解除、所要時間増加が目立つ内容です。これは、会社側は(所要時間増加は要員の拘束時間増加を意味することから)人件費が増加し、営業費用が増加する結果に、利用者側は実質的な所要時間が増加する結果につながり、結果として社会全体の費用が増加するだけという誰も得しないダイヤになってしまいます。

これは定時制向上などの説明が可能でしょう。それを是とする価値観もあるのでしょう。

しかし、コストをかけるのであれば、日中時間帯以降の京成上野-青砥間の速達列車を運転し、日中時間帯以降も京成上野での速達列車乗車チャンスを10分間隔で設定するほうが全体最適にかなっていました。さらに競争力向上を考慮するのであれば、当該列車を千葉線や千原線に直通させ、千葉方面と東京23区の利便性向上も狙うべきでした。千葉線や千原線の並行路線の京葉線や外房線の利便性が低下している現在、山手線北側と千葉市の乗客を奪うチャンスに見えます。

同じコストでより高い利便性を確保する、そのような基本原理に立ち返ったダイヤを再度期待したいものです。

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