このページでは都営地下鉄三田線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。

写真1. 東急線と直通運転している三田線(この車両は東急の車両)
都営三田線の基本情報
都営三田線は目黒から三田、日比谷、大手町、神保町、巣鴨を通り、西高島平に至る路線です。三田から神保町までは都心のビジネス街を貫通していて、巣鴨から西高島平は人口密度の高い住宅街を通ります(巣鴨のある豊島区は日本一人口密度の高い自治体です)。そのような背景があるので、今は朝ラッシュ時は西高島平から目黒に向かう電車が混んでいます。
目黒から白金高輪は地下鉄南北線と共用しています。目黒では東急目黒線と直通運転しています。東急目黒線は将来的に相鉄線と直通運転する予定です。そのときには神奈川県の中央部と都心を結ぶ大動脈として機能することになります。このときには、現在(相対的に)空いている傾向にある(朝ラッシュ時でいう)目黒から西高島平に向かう電車がより混むことになるでしょう。
大手町こそ通るものの、山手線との接続駅は目黒と巣鴨と比較的目立たない駅(両駅の環境は個人的には嫌いではありません)、メジャーなスポットも通らず、どちらかというと地味な印象があります。ただし、板橋区から都心への重要な交通機関として機能していることも事実です。
都営三田線の混雑基本データ
では、混雑状況データを簡単にまとめます(表1)。
表1. 都営三田線の混雑基本データ
最混雑区間 | 西巣鴨→巣鴨 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 140% |
2022年 | 135% | |
2021年 | 131% | |
2020年 | 129% | |
2019年 | 161% | |
2018年 | 158% | |
2017年 | 156% | |
2016年 | 156% | |
最混雑時間帯 | 2023年 | 7:40~8:40 |
2022年 | 7:40~8:40 | |
2021年 | 7:30~8:30 | |
2020年 | 7:30~8:30 | |
2019年 | 7:30~8:30 | |
2018年 | 7:30~8:30 | |
2017年 | 7:40~8:40 | |
2016年 | 7:40~8:40 | |
集中率 | 21.6% | |
流動最大区間 | 水道橋-春日 | |
乗客半減区間 | 志村坂上-志村三丁目 |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
最混雑区間は西巣鴨→巣鴨です。板橋区からの通勤客が各駅で乗りこみ、巣鴨で山手線に乗りかえるためです。三田線沿線から池袋・新宿方面に向かうには、巣鴨で山手線に乗りかえるのが最短経路です(西巣鴨で都バス40系統に乗るのはマニアックでしょう)。では、逆に山手線から乗りかえる人は少ないのでしょうか。路線図を見れば答えはある程度見えてきます。山手線(巣鴨)三田線は、山手線から都心方面に向かうために使われるルートですが、田端以南だと山手線にそのまま乗るほうがラクですし、池袋以南だと池袋で丸ノ内線や有楽町線に乗りかえるほうが便利です。となると、対象となるのは大塚と駒込だけです。駒込であれば南北線利用もあり得ますし、大塚であれば丸ノ内線利用もありえます(新大塚駅は大塚駅から歩いてアクセスできます)。こう考えると、山手線(巣鴨)三田線のルートはあまり考えられません。とはいえ、巣鴨から都心に向かう人が三田線に乗るので、巣鴨で大幅に空くということもありません。
最混雑率は160%程度で、首都圏では標準的でした(2019年以前)が、2020年以降は130%超と日本一になってしまいました。ただし、8両編成化が予定されていて、徐々にこの数字は下がっていくことでしょう。6両編成が8両編成に増結されたら、それだけ輸送力は上がります。
乗客が最も多い区間は、春日-白山です。この区間は板橋区-都心の流動と都心内の流動が重なるので、それなりに利用が多いのでしょう。この乗客数が半減する区間は、志村三丁目-蓮根です。巣鴨と西高島平の中間付近で乗客が半分になるということです。板橋区内の駅でどこでもそれなりに利用があることがわかります。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。三田線の巣鴨-西巣鴨の集中率は20%少々と標準的な利用であることがわかります。板橋区内の街が成熟して、日中時間帯や休日にもそれなりに利用されていて、(巣鴨で乗りかえることで)池袋や新宿に向かう足として活用していることが読み取れます。また、山手線北側と都心を結ぶ最速の交通機関であることも重要でしょう。
都営三田線の混雑状況の現場調査
ここまでは都営三田線の基本データをベースに解析しました。実際の調査結果は以下のリンクにあります。
都営三田線の混雑状況(朝ラッシュ時、現場調査、西巣鴨→巣鴨)
その最混雑区間で実際の混雑状況を確認しました。単に平均混雑率が何%かということだけではなく、どの車両が空いているのか、どの時間帯が最も混雑しているのか、現場の実態を確認しています。
休日日中時間帯の都営三田線の混雑状況(日比谷-大手町、現場調査結果)
休日の目的地となる場所を通らない、三田線の都心部。では、その都心部では休日の昼間にはどの程度の混雑になるのでしょうか。実際に都心部の日比谷駅で確認しました。
夕方ラッシュ時の都営三田線の混雑状況(巣鴨→西巣鴨、現場観察結果)
最混雑区間の夕方の混雑状況を実際に確認しました。新型肺炎ウィルスの脅威が語られ、「新しい生活様式」が定着した段階の混雑状況も確認できます。
東京都内の各路線の混雑データのまとめ
では、他の路線と比べて混雑率はどうなのでしょうか。各路線の最混雑区間とその混雑率をまとめたページを用意しました。また、他の路線の基本データへのリンクを備えています。
簡易検索システム
都内から都心の勤務地に勤務する場合の経路と最混雑区間を簡単に判定するシステムを作成しました。
都市鉄道に関する統計データは以下の書籍を参考にしています。本記事の内容を深く知りたい人はぜひ購入してみてください。(2022年時点で平成30年度版が最新です)