京急の平日日中時間帯の混雑状況(横浜-戸部、2024年現場調査結果)

記事上部注釈
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2022年秋にダイヤ骨格が変更された京急。横浜地区ではエアポート急行が20分間隔になって久しいです。インバウンド需要が増すなか、利用実態はどうでしょうか。横浜で観察しました。

写真1. 横浜の駅名標と特急から降りる乗客群

平日日中時間帯の京急線の混雑状況のまとめ

平日日中時間帯の京急の混雑状況は以下の通りです。

  • 混雑するのは快特と特急で、座席が埋まり若干の立ちが生じる程度の混雑である
  • 急行と普通は座席が埋まる程度の混雑である

詳細は以下に記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は横浜以南で最混雑区間の横浜-戸部の実態を確認しました。

平日日中時間帯の京急線の混雑状況の生データ

写真5. あこがれの2ドア快特

まず、生データを示します(表2)。列車ごとの混雑率については、計算のしやすさ(混雑ポイントは序列指標であり、足し算ができない)から、混雑率で示しています。

表2. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、生データ)

また、列車別に混雑状況を視覚化しました(表3)。

表3. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、列車別視覚化)

京急線の混雑状況の傾向を探る

写真6. 大荷物の乗客が乗る急行羽田空港行き(なぜ大荷物なのだろう?)

上で生データを示しました。しかし、それだけではわかりにくいかもしれません。そこで、以下の章で詳細に解析いたします(やさしー)。なお、列車ごとの混雑を分析するに当たり、弊サイトの指標である混雑ポイントから、一般的な混雑率に変換しています。これにより、序列指標から定量的な指標に変換され、計算などが便利になるためです。

復習:京急線のダイヤ

混雑状況と鉄道ダイヤは大きく関わります。そのため、ダイヤを簡単に紹介します。

京急本線は20分サイクルパターンダイヤに近似できます。横浜付近では1サイクル当たりは以下の構成です。

  • 快特:泉岳寺-京急久里浜
  • 特急:都営浅草線-三崎口
  • 急行:羽田空港-逗子・葉山
  • 普通:品川-浦賀(2本)

快特特急が各20分間隔で10分に近い間隔で運転されています。その間に普通が約10分間隔で設定され、快特特急の間隔の広い箇所に急行が挿入されます。急行は横浜以北では羽田空港アクセスに力点を置き停車駅は少なめ、横浜以南では地域輸送に力点を置いて停車駅は多めの設定です。

種別の混雑状況

上記の前提をもとに、種別ごとの混雑をまとめます(表4、図1)。

表4. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、種別ごと)

図2. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、種別ごと、視覚化)

快特特急という速達列車に混雑が集中するのは一般的な傾向です。そのなかでも特急のほうが混んでいます。特急快特の運転間隔は均一でないという理由が考えられますが、そうであれば下り(特急のほうが間隔が開く)と上り(快特のほうが間隔が開く)で混雑が逆転するのでその説明は合っていません。単に停車駅が多く、それだけ多くの人に乗られるのがその理由でしょう。

急行は下りのほうが混んでいて、上りのほうが空いている理由は列車間隔で説明できます。下りの横浜断面では急行は前列車間隔が7分開き、普通利用者も特急利用者もそれなりに利用します。上りは金沢文庫や上大岡断面で2~4分しか開いておらず、そこまで集客できません。急行は羽田空港直通ということで、横浜から大荷物を持った人がそれなりに乗ることが想定されます(実際に各ドア2人以上見かけた記憶があります)。そのため、横浜到着断面で「戦略的に空かせている」かもしれません。

短距離利用がそれなりに多いためか、普通は意外と乗っています。長い間、普通の10分間隔を崩していない理由が見えました。

号車別の混雑状況

最後に号車別の混雑状況を分析します(表5、図3)。

表5. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、号車ごと)

図3. 京急本線の混雑状況(平日日中時間帯、横浜-戸部、号車ごと、視覚化)

車両による混雑の違いは小さく、どの車両に乗っても平均的な混雑とわかります。これは、横浜駅の連絡通路が多く、どの車両に乗ってもそれなりに便利(横浜の目的地に応じ各自が車両を使い分けている)ということです。極端に便利な車両がなければ、極端に不便な車両がないことが混雑均等化には肝要なのです。

(参考)図4. 横浜駅の構内図(京急の公式サイトより引用)

混雑状況からダイヤを考える

写真7. 各駅のことを考えると普通も重要

混雑状況からダイヤを考えてみます。

羽田直結という事情があれど、急行はやや中途半端な存在であり、速達列車か普通のどちらかが適切に見えます。普通は10分間隔でじゅうぶんに見え(混雑が問題であれば4両編成を廃絶し6両編成に統一すれば良い)、速達列車の充実が理想論に見えます。

1つの方策は急行の停車駅削減による速達化です。急行の停車駅を3駅程度カットすれば、特急の代替にもなり、特急の混雑緩和にもつながりましょう。場合によっては、特急の快特への復活も手でしょう。

もう1つは8両編成の急行を4両編成の快特、4両編成の特急に分割し、京急川崎で連結するという往年のオペレーションを復活させることです。現在の快特は川崎-横浜で所要時間がかかっていますし、特急も110km/h止まりです。やりようによっては増結のための停車時間は捻出できるでしょう。場合によっては特急の快特化も方策でしょう。この場合は混雑する特急と快特を12両編成に増強でき、ダイレクトに速達列車の混雑緩和が期待できます。ただし、車両によって行先が異なり、不案内な乗客が多い日中時間帯のダイヤにそぐわないという問題点を指摘できます。

本来は乗客の入れ替わる横浜に待避線を設置し、横浜で緩急結合することによって、待ち合わせの弊害を極小化しつつ、速達列車の速度向上がベストシナリオです。このように駅が多く速達列車も運転する路線では利害を一致させることは難しく、ダイヤ作成という利害をすり合わせる作業の難易度が高いことを改めて実感させられるのです。

京急本線の混雑に関するデータ

ここまで特定時間の特定区間という「深くて狭い」内容をお伝えしました。以下の記事では東急目黒線の混雑の基本データという「浅くて広い」内容をまとめています。また、他の時間帯の混雑状況もまとめています。

京急本線(混雑基本データ)

このページでは京急本線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。
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