定期券を活用しよう!(基本的なルールからお得な活用術まで)

いつも使っている定期券。その定期券について改めて基本から確認するとともに、お得な活用術までまとめました。前半に基本的なこと、後半に個別の応用例を述べます。この記事はブックマークし、たまに見返すと新たな発見があるでしょう。

湘南新宿ラインE231系(池袋)

写真1. 湘南新宿ラインは定期券の経路としては存在しない

定期券の概要

定期券は簡単にいうと、「ある区間について、お金を前払いすることで、一定期間中は自由に乗り降りできるようになる」ための券です。以下の原則があります。

※ものごとの理解は原則から入り、例外を後で覚えるのがスムーズです。そのため、例外的なことがあるのは理解していますが、まずは原則から示しています。

定期券の原則
  • 本人しか使えない
  • 事前に購入者が決めた経路しか使えない
  • 途中下車は自由

定期券の最も大きな原則ですが、購入者本人しか使えません。これは絶対的な原則です(一部のバス会社では家族も使えるという例もありますが、例外的な存在です)。平日はお父さんが会社に行くのに使い、休日は子供が繁華街に行くのに使いまわすのはNGということです。

次の原則は決めた経路しか使えないという点です。例えば、東京-新宿の定期券を中央線経由で購入したら、中央線を利用しなければなりません。この場合、山手線を利用してはならないのです。ただし、中央線が人身事故等で運転見合わせの場合など、やむをえない場合は鉄道会社側から利用可能と案内されることもあります。

最後の原則は、途中下車は自由なことです。途中下車というのは改札から出ることです。乗りかえのためにホームに降りたり、腹痛などに襲われて急に改札内のトイレを使うことは途中下車には該当しません。定期券の範囲内であれば、途中のどの駅であっても、改札を出ることは自由ですし、このために精算が必要になることもありません。

大きなくくりとして、通学定期券通勤定期券があります。

コラム.「同じ経路」の意味
ここで「決めた経路」しか使えないと述べました。しかし、鉄道会社側の「経路」というのは、意外と幅が広いものです。そこで、一見違うのに、同じ経路として示される例を示しましょう。

例1. 東京-品川の場合

東京-品川のJRの定期券を購入すると、経由は東海道線となるはずです。では、東京では東海道線の電車が発車する7番線~10番線に向かわなければならないのでしょうか。山手線の有楽町は経路上にないのでしょうか。

実際は山手線も京浜東北線も横須賀線も全て東海道線に含まれています。ここでいう山手線だの京浜東北線だのは運転系統を示すものです。一方、定期券は線路の名称で考えています。線路の名称は東海道線で一致しています。そのため、実際には山手線や京浜東北線に乗って良いのです。JRで定期券の経路を考える場合は、運転系統ではなく、線路名称で考えるのが重要です。

例2. 新宿-中野の場合

中央線には快速電車(オレンジ色の電車)と各駅停車(黄色の電車)があります。新宿から中野へはどちらでも行けます。これも例1と同じ考えが成立します。

例3. 池袋-和光市の場合

池袋-和光市の場合、地下鉄副都心線と地下鉄有楽町線の双方の利用が考えられますが、どちらも同じ区間を通っているため、利用が可能です。一方、地下鉄の定期券で東武東上線には乗れませんし、東武の定期券で地下鉄線には乗れません。

通学定期券

通学定期券は通学のために利用する定期券です。学校の最寄駅と自宅の最寄駅の合理的な最短経路でしか購入できません。後で述べるように、学校の最寄駅の1つ先の駅から購入することはできません。

小学生、中学生、高校生、大学生、とそれぞれ価格設定が異なります。学生証が必要なことから、趣味的な面白さやお得な活用方法はあまりありません。愚直に買うしかありません。ただし、学校の最寄駅と自宅の最寄駅の間でアルバイトをしている場合は、当然ながらその定期券でアルバイトの通勤に使えます。

通勤定期券

通勤定期券はある意味何でもありの定期券です。通勤という名前がついていますが、通勤定期券の用途は何でも構いませんし、購入する区間に制約はありません。極端な話、電車に乗りたいという理由で池袋-新宿の定期券を購入することだって可能です。

したがって、通院に通勤定期券を活用することだって可能です。私にとってはこれは常識ですが、母親から私にそのような問い合わせがありました。この事実は意外と知られていません。

通勤定期券のお得な活用術

では、通勤定期券でお得な活用術はないのでしょうか。ここから一般的な活用術からマニアックな活用術まで紹介いたします。残念ながら通学定期券は愚直に買うしかないので、あまり活用できません…。

区間を伸ばせないか

まず考えるべきことは、同じ値段で有効区間を伸ばせないのか、ということです。池袋-新宿の1か月の通勤定期券は4940円です。では、1駅伸ばして池袋-代々木だとどうでしょうか。これも同じ価格の1か月4940円です。そうであれば、池袋-代々木のほうが有効活用できます。代々木に行く機会が少なくとも問題ありません。定期券の範囲を延長することによるコストは0ですから。

この場合は渋谷に向かう際の交通費節約になります。新宿-渋谷は160円ですが、代々木-渋谷は140円(いずれもきっぷの値段)です。定期券の範囲を延長することで渋谷に行く際の交通費を40円(たいてい往復するので2倍しました)節約できたのです。

鉄道会社側は自宅の最寄駅と職場の最寄駅など聞きません。そのため、気兼ねなく購入できます。私も自宅の最寄駅ではないところまで定期券を購入していますが、鉄道会社からは何らおとがめはありません。勤務先と鉄道会社が通勤者1人1人の情報をやり取りしていることもありません。そのため、無意味な正論(杓子定規に勤務先-自宅の定期券しか買ってはならない)に耳を傾ける必要はありません。事実、私の勤務先では、「従業員がどの期間の定期券を購入しているのかは、会社は関与できないし、知ることもできない」という建前です。

選択乗車の活用

選択乗車という制度があります。これは主に路線網が入り乱れているJR線について適用される原則です。全てを挙げたらキリがありませんが、主に以下のものがあります。なお、本記事では選択乗車の意味合いをJR側の用語とは異なる意味で使っています。その点をご了承ください。

選択乗車の区間例
  • 赤羽-大宮
  • 品川-横浜(鶴見)
  • 東京-錦糸町(秋葉原経由)
何を言っているのかわからないでしょうから、それぞれについて簡単に解説いたします。

赤羽-大宮

赤羽-大宮

図1. 赤羽-大宮の概念図
※赤羽以遠(尾久方面、東十条方面、十条方面)、大宮以遠(土呂方面、宮原方面、日進方面)でも適用できます

赤羽-大宮は京浜東北線(や宇都宮・高崎線)と埼京線に分かれています(図1)。赤羽-大宮を通り抜ける際は距離の短い京浜東北線経由(浦和経由)で計算しますが、埼京線(中浦和経由)も利用可能です。そして、途中下車も可能です。つまり、赤羽-大宮の定期券を持っていれば、間の京浜東北線の駅も、埼京線の駅も途中下車可能です。これは通勤定期券だけではなく、通学定期券にも適用されます。

このミソは赤羽-大宮を「通り抜ける」となっていることです。途中駅の北与野(埼京線の大宮の1つ手前の駅)-大宮-浦和-赤羽の定期を購入した場合は、適用されません。この場合は、大宮-赤羽の定期券としたほうが価格が安くなる(可能性が高い)うえ、武蔵浦和などに途中下車できて便利です。

この範囲の中に武蔵野線があり、南浦和と武蔵浦和を結んでいますが、建前上は利用できません。つまり、定期券の範囲内の南浦和から武蔵浦和まで移動するのに、武蔵野線を利用してはいけません。もしも、南浦和と武蔵浦和に駅があったら(仮に新浦和としましょう)、新浦和では途中下車できないことでしょう。

品川-横浜(鶴見)

品川-鶴見(横浜)

図2. 品川-横浜(鶴見)の概念図
※品川以遠(大崎方面、高輪ゲートウェイ方面)、横浜以遠(保土ヶ谷方面、桜木町方面)でも適用できます

品川-横浜は京浜東北線(や東海道線)の経路(川崎経由)と横須賀線(武蔵小杉経由)の2通りがあります(図2)。これについても距離の短い京浜東北線経由で計算しますが、距離の長い横須賀線経由も利用可能です。また、横須賀線の駅で途中下車できます。実際には横須賀線電車は鶴見を通過しますが、鶴見が分岐点という扱いです。そのため、この章の見出しには「鶴見」という単語を登場させました。

この範囲の中に南武線があり、川崎と武蔵小杉を結んでいますが、建前上は利用できません。つまり、定期券の範囲内の川崎から武蔵小杉まで移動するには、南武線を利用してはいけません。現に間の南武線の駅(鹿島田など)では途中下車できません。

ここで一見ややこしいのは湘南新宿ラインの扱いです。湘南新宿ラインの定期券を持っていて、山手線-品川-東海道線の経路は利用不可ではないか、という疑問が生じます。しかし、そう難しいことはありません。運賃計算上は、湘南新宿ラインは品川を通ることになっています。運転の都合上、品川を通らないだけです。そのため、湘南新宿ライン経由で定期券を買った認識であっても(これは利用者がそう思っているだけです)、品川を通ることができますし、品川で途中下車できます。

東京-錦糸町(秋葉原経由)

東京-錦糸町

図3. 東京-錦糸町の概念図
※東京以遠(有楽町方面、八丁堀方面)、錦糸町以遠(亀戸方面)でも適用できます

東京-錦糸町は大まかにいって2通りの経路があります。1つは快速電車のルートで馬喰町を経由するルート、もう1つは秋葉原で乗りかえるルートです(図3)。

ここについては、特殊な取り扱いがなされています。東京-秋葉原-錦糸町という経路の定期券で、東京-馬喰町-錦糸町の経路に乗ることができるというものです。ただし、馬喰町経由の途中駅(具体的には新日本橋と馬喰町)では途中下車できません(別途精算が必要)。

このような制度があるのは、昔の名残でしょう。昔は総武線快速のルートはなく、秋葉原乗りかえが必須でした。総武線から都心に向かう人で秋葉原駅は大混雑していました。この混雑を解消するために、新線を建設しました。その新線を利用してもらうために、大回りする経路の定期券を持った人でも、新線を利用できるように設計したのでしょう。

二区間定期の活用

私鉄では、郊外側の駅から都心に地下鉄で直通している例があります。都心の勤務先に通勤する際は、地下鉄直通電車で向かうほうが便利でしょう。一方、帰宅時は都内のターミナル駅から始発で座って帰りたいことでしょう。例えば、以下のケースを想定してみましょう。

・自宅:西武池袋線の所沢
・職場:有楽町(地下鉄有楽町線)
※西武池袋線と地下鉄有楽町線は直通しています。

所沢から有楽町に通勤するには、地下鉄有楽町線直通電車で行きたいことでしょう。一方、帰宅時には池袋で飲んで、池袋から始発で所沢まで帰りたいことでしょう。しかし、練馬-池袋は別経路ですので、そのような利用は難しいです。そこで、出てきたのは2区間定期券です。通常の通勤定期券よりも割高になりますが、両者を組み合わせることができます。

このような例は以下の通りです。

二区間定期券の例
  • 西武線と地下鉄線(池袋-練馬)
  • 東武線と地下鉄線(池袋-和光市)
  • 小田急線(新宿、代々木上原発着)

二東流

図1. 東武鉄道による二東流の案内(東武鉄道のホームページより)

小田急線の場合は、代々木上原接続千代田線のほかに、新宿駅利用も可能な定期券というイメージです。仮にこの定期券を購入しても、都心-新宿のメトロの運賃は負担する必要があります。

このほかに、京王線の場合は、渋谷・新宿双方をターミナルとして利用できる定期券もあります。新宿-笹塚で京王線と京王新線の両方を利用できる定期券がない?そう怒ることはありません。もともと、両方とも利用できますので、問題ありません。

定期券のまとめ

身近な存在でありながら、意外とその全容を知らない定期券。通勤定期券の名前に合わず、用途は自由であるなどの意外な面もあります。また、JRでは意外なところにも使えたりと、知ればお得に利用できることもわかることでしょう。

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