東京外環状線を構想する

記事上部注釈
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東京のラッシュの混雑は厳しいものがあります。これに対して主要路線の複々線化や編成長の増加などの方策があります。しかし、もう1つの対策が考えられます。私個人でこの内容を考えてみました。ただし、莫大な資金と膨大な時間を要することです。

写真1. ドイツの首都でも環状線が活躍中(この路線はベルリン市郊外を結ぶ役割があります)

東京の鉄道の混雑の原因と対策

東京の鉄道は朝ラッシュを中心にとても混雑します。これに対して、線路の増設(直近では小田急線の複々線完成が1例)、新線の建設(直近では相鉄の都心直結でしょう)、編成の増強(三田線や南北線の8両化)など改善が進められています。これはこれで非常に効果があります。しかし、特定の路線での対策だけでは、以下の問題があります。

1) 特定の路線しか混雑は緩和しない
2) 地価の高い都心部の改良が必須なので資金が必要

これを解消する方法はないでしょうか。

もう1つの視点として、通勤客の移動パターンを考えてみます。利用客の多くが郊外の住宅地から都心のオフィスに通うという前提で考えられています。では、本当に全ての利用者が都心のオフィスに通っているのでしょう。そのようなことはないでしょう。しかし、現在は都心に通うことが前提で路線網が建設されていますので、都心に関係ない人まで都心の混雑に巻き込まれてしまいます。例えば、松戸(常磐線)に住む人が三鷹(中央線)に通うという場面を想定します。この人は常磐線で都心に出て、都心から中央線に乗ることになります。そのため、常磐線の最混雑区間(松戸→北千住)に乗ってしまいます。ですが、この人は都心に用はありません。であれば、都心を迂回する路線があればこの人のために常磐線が混雑することはありません。このような用途の路線として武蔵野線がありますが、武蔵野線は既存の市街地から離れていることと、都心に近い迂回需要を満たしていません。

このように、武蔵野線より都心よりの環状線を建設することには大きな意義があります。具体的には23区の端かその周辺を結ぶ環状路線を整備することで、都心に用がない人に都心の鉄道を乗せないように誘導できます。ここではその路線の概要を考えてみましょう。なお、話をしやすくために「東京外環状線」とここでは名づけることにします。ただし、名称は実際のところ何でも構いません。

路線の経由地の考慮

このような路線は既存の放射状路線の拠点駅どうしを結んだほうが便利です。そうすると、この路線が多くの人にとって「目的地」となるためです。抽象的でわかりにくいですか?それならば、具体的に考えてみましょう。

例えば、この環状線と中央線との交点で考えてみましょう。既存の武蔵野線の内側で都心より外側の駅といえば、大久保、東中野、中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪、吉祥寺、三鷹、武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国分寺がありえるでしょう。このうち、大久保、東中野と中野は既存の山手線に近いため適切ではないでしょう。一方、武蔵小金井と国分寺は既存の武蔵野線に近いため適切ではありません。残るは高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪、吉祥寺、三鷹、武蔵境、東小金井になります。例えば、中央線の交点を阿佐ヶ谷にしてしまうと、多くの人にとって目的地の駅まで乗りかえが必要となってしまいます。そうすると、中央線との交点は荻窪、吉祥寺、三鷹が良いでしょう。

他の路線でも快速や急行などの速達列車の停車駅を通ることを軸に考えます。特に、首都圏の5方面である、東海道線、中央線、東北線、常磐線、総武線についてはこのような発想は重要です。そうはいっても、全体の線形を考えてやむを得ずにずらした箇所もあります。

次に、起点と終点を考えます。起点は京葉線のどこか、終点は大田区か川崎市の海岸線沿いとなるでしょう。京葉線の主要な目的地といえば東京ディズニーリゾート、大田区か川崎市の海岸線沿いの主要な目的地は羽田空港となりましょう。そこで、舞浜から羽田空港を結ぶことにします。

これらを総合的に考慮した結果が以下の路線です。

図1. 東京外環状線の経路(空想鉄道さまのサイトで私が作成)

これではわかりにくいでしょうから、駅一覧も表示します(表1)。

表1. 東京外環状線の駅一覧

東京外環状線(駅一覧)

既存の放射路線との乗りかえ駅を中心に設定しましたが、これでは駅間距離が長すぎる箇所については適宜中間駅を設けています。中間駅の駅名は近くの地名だったり、既存の駅名とかぶらないように適当に付けました。中間駅の駅名にあまり大きな意味はありません。ある程度駅がないと各自の「目的地」に遠いと考えました。駅間距離が短すぎても移動に時間がかかりますので、その点は適切に考慮しています。

写真2. 現在も郊外どうしを結ぶバスはある(成城学園前と二子玉川を結ぶバス)

東京外環状線の効果は?

東京外環状線の効果はどのようなものでしょうか。定性的に考えてみましょう。先ほどの松戸に自宅、三鷹に勤務地がある人の例で考えると、この人は外環状線で松戸から吉祥寺に向かい、吉祥寺から三鷹までの中央線に乗ることでしょう。この人はもともと都心に用がないのに常磐線の最混雑区間に乗ることになっていました。この人が常磐線に乗らなくなり、混雑が緩和されます。

このような例は多く考えることができます。このように、現在の最混雑区間手前で乗客が東京外環状線にシフトして、多くの路線の最混雑区間の混雑が緩和します。このような利用パターンは最混雑区間を利用する人の1割程度でしょう。それでも、現在の混雑率が180%であれば162%に緩和します。特定の路線が目に見えて混雑が緩和しませんが、多くの路線が均等に空くことでしょう。

運行形態はどうするの?

次に、運行形態について考えてみましょう。基本的に駅は少なめで考えています。舞浜から羽田空港までの駅数は37、距離は84.2kmですから、平均駅間距離は2.34kmです。小田急線の新宿-小田原が82.5kmで駅が47、京急線の駅が品川-三崎口が65.7kmで駅が54、東武伊勢崎線の浅草-足利市が86.8kmで駅が44と考えると、駅の少なさがわかると思います。

そのため、複雑な運転系統は必要ありません。各駅にとまる普通電車、拠点駅のみを結ぶ急行、そして多くの乗りかえ駅にとまる準急があればじゅうぶんです。待避駅は松戸、吉祥寺、川崎(折り返しを兼ねる)で足りることでしょう。

では、本数はどの程度でしょうか。朝ラッシュ時は武蔵野線が4-5分間隔、放射線の私鉄が毎時27-40本程度ということを考えると、東京外環状線の本数は毎時18本-24本程度となりましょう。大まかなイメージとして、10分サイクルに普通2本、準急1本でしょうか。日中時間帯は武蔵野線が10分間隔、放射線の私鉄が毎時12-24本ということを考えると、東京外環状線の本数は毎時9本程度でしょう。大まかなイメージとして急行が20分間隔、普通が10分間隔でしょうか。夕方ラッシュ時は普通と準急がそれぞれ10分間隔でしょう。ただし、すべての時間帯で川崎-羽田空港の本数はやや少なくても問題なさそうです。

運営会社はどうするの?

この鉄道の運営会社はどのようにしましょうか。まずは既存の鉄道会社が運営することが考えられます。そう、1つはJRが運営すること、もう1つが既存の私鉄が運営することが選択肢として挙げられます。しかし、JRがこの鉄道を運営しても利潤が得られない(既存路線のバイパスとなれば実質的な運賃値下げにしかならない)ことが予想されます。一方、既存の大手民鉄が運営したらしがらみが大きいでしょうし、これだけの路線を建設するのは困難でしょう。

となれば、東京都が建設することが選択肢として挙げられます。しかし、東京都以外にも利害関係がありますので、なかなか東京都単独で運営するのは難しいです。そうであれば、埼玉県、神奈川県、千葉県も運営に参加するのが手でしょう。ただし、神奈川県の運営比率は低くなることでしょう。また、首都そのものの問題ですので、日本国も運営に参加するのも手でしょう。

利用しやすくするために

まずは利用しやすくするためには物理的に乗りかえが簡単なことが重要です。既存路線はたいてい高架駅ですので、地上に出入口があります。この出入口に向かうように改札を設けます。また、松戸は地上駅です。このような駅は既存路線(松戸であれば常磐線や新京成線)のホームから直接下るように乗りかえ改札を新設します。山手線の駒込や巣鴨のように大回りさせる動線ではいけません。これら両駅は山手線から地下鉄に乗りかえるのに、1回階段を登らせて改札を出て、地下の地下鉄のりばに行くという動線なのです。

上の章で既存の鉄道会社ではないと記しました。そうなると運賃の問題です。これについては、放射線の各鉄道会社と協議し、乗継割引を適用するしかありません。通しで買えば放射線も東京外環状線も50円ずつ割引になる、この路線を経由して3路線を使う場合(例.東武線-外環状線-JR線)も同様に50円ずつ割引、つまり単純合計よりも150円安くするということです。ただし、3路線の両側が同じ会社の場合であっても通し運賃にする必要はないでしょう。

東京外環状線の構想まとめ

私なりに首都圏の通勤ラッシュを緩和する策を考えてみました。このような対策は道路交通では東京外環自動車道や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)で例があり、都心の道路渋滞が大幅に緩和したと聞いています。このような発想は鉄道でも重要でしょう。これにより、都心に用のない人を都心を通さずに、都心の負荷を軽くすることも重要です。また、道路と鉄道の違いにも着目して経由地を考えてみました。

多くの人とは異なることを述べてみましたが、このような「変」な発想も時には重要と思います。この記事で何かへのインスピレーションになってほしいと思います。そして、このような時間もお金もかかる路線を建設して、東京という都市をさらに魅力的にしてもらいたいものです。

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コメント

  1. 直言居士 より:

    いまさら何を寝ボケたことを…

    すでに提唱されているメトロセブンやエイトライナーと全然変わらんではないか。

    • tc1151234 より:

      直言居士さま、コメントありがとうございます。

      確かに、メトロセブンやエイトライナーと発想は似たものがあります。わざわざ私が別の路線を構想した理由を書かないと、同様の感想を持つかたが出そうですね。折りを見つけて、この違いを追記したいと思います。貴重なご指摘、ありがとうございました。