欧州でも代表的なハブ空港、フランクフルト空港。トランジットの合間などで市内に行く機会もあるでしょう。空港から市内への移動手段として有力なものが鉄道です。そんな鉄道に乗りました。
写真1. 空港駅の1番線からの系統に乗れば間違いない
フランクフルト空港から中央駅への行きかたまとめ
フランクフルト国際空港からフランクフルト中央駅への行きかたは以下の通りです。
- 1番線にやってくるSバーンで15分程度である
- そのSバーンは15分間隔である
- 1回の乗車で6.3ユーロである
詳細は以下で記します。
復習:フランクフルト空港と市内のアクセス
最初にフランクフルト空港と市内のアクセス手段を紹介します。
図1. フランクフルト空港からフランクフルト中央駅への経路(googleマップより引用)
図2. フランクフルトSバーンの路線図(RMV公式サイトより引用)
位置関係(図1)とフランクフルトSバーンの路線図を示します(図2)。ところで、Sバーンとは何でしょうか?
ドイツの大都市にはSバーンと呼ばれる近距離列車が走ります。(中略)日本でいうと、山手線、鶴見線、⻘梅線のような近距離電車を総称したイメージです。
ドイツ鉄道大全(p54)より引用
簡単にいうと、大都市近郊をそれなりの本数で運転される鉄道のことです。その系統の路線図ということです。フランクフルト空港駅は飛行機マークがある駅、フランクフルト中央駅はその右側に位置します(四角で囲ったFrankfurt Hbfと記した駅)。Sバーンには系統番号を付けられ(この点が日本の路線名と異なります)、フランクフルト空港駅とフランクフルト中央駅の間はS8とS9が結んでいます。両系統は30分間隔で運転され、合わせて15分間隔で運転されます。
このほか、RE2やRE3も運転されますが、それぞれは2時間間隔でしかなく、合わせても1時間間隔です。当たればラッキーくらいの心持ちでじゅうぶんと思います(同じホームなのでそのために別のホームに行かなくてならないというストレスもありません)。
運賃は1回の乗車で6.3ユーロです。少し離れた長距離駅にはICEなどがやってきますが、これらに乗ると9.9ユーロかかります。また、長距離列車は中央駅どまりですので、あえてICEなどの長距離列車に乗る必要もありません(所要時間も大差ないかむしろSバーンのほうが短いくらいです)。
本記事では中央駅に向かうことを中心に触れますが、ドイツの大都市はSバーン、Uバーン(日本の感覚でいうと路面電車か地下鉄)ともに共通運賃です。したがって、フランクフルト中央駅から先の市内にも同額で行けます。そのため、RMV公式サイトでFrankfurt (Main) Willy-Brandt-Platz(SバーンがなくUバーンの駅)までの運賃を調べると6.3ユーロです。
私ですか?この日に中距離列車に乗る予定があったので、ユーレイルグローバルパスを使いました…。ユーレイルグローバルパスであれば、Sバーンは問題なく使えます。
補足ここまでの説明ではFrankfurt(フランクフルト)という表記を使いました。しかし、よく調べるとFrankfurt(Main)という表記も見られます。実はこちらが正式表記です。では、他のフランクフルトがあるのでしょうか?実はそうです。ドイツとポーランド国境近くにはFrankfurt(Oder)という都市があります。これと区別するためにFrankfurt(Main)と命名されているのです。
なお、MainやOderは川の名称です。
図3. フランクフルトの位置関係(googleマップより引用)
余談ですが、ベルリンなどドイツ東部だとFrankfurt(Main)に行く系統もあれば、Frankfurt(Oder)に行く系統もあります。東京に例えると、大宮行きと大船行きの双方がやってきて、それぞれが反対方向に向かう京浜東北線に乗るときのような罠があるということです。
実際に空港から中央駅に移動する
実際に空港から中央駅に移動しましょう!
写真2. フランクフルト空港の到着ロビー
フランクフルト空港の到着ロビーです(写真2)。
写真3. 外に向かって歩く
外に向かって歩きます(写真3)。
写真4. Train Stationsに向かって歩く
Train Stationsに向かって歩きます(写真4)。私は英語初心者ですが、Stationsというのは複数形です。直訳すると「列車の駅たち」です。単数ではなく複数形?
そう!フランクフルト空港には近距離駅(空港に近い)と遠距離駅(空港から遠い)の2つがあります。簡単のため今までは深く触れませんでしたが、本記事ではフランクフルト市内や周辺の列車が発着する近距離駅に焦点を当て、ドイツ各地や近隣国への長距離列車が発着する遠距離駅には焦点を当てていませんでした。
写真5. 1番線に向かう
1番線に向かいます(写真5)。日本の空港駅と異なり、通り抜け方式です。したがって、列車を間違えると市内と逆方向に行ってしまいます。1番線に向かえば間違いありません。幸いなことに、1番線は空港側にあり、最初に目に入ったホームが市内行きです。
ここまで改札口はありません。ドイツの鉄道は改札がないのが基本です。信用乗車制といって、乗客を信用するスタイルです。ランダムで発生する検札で信用を裏切ったことが発覚したら罰金が発生します。なので、「改札がないからタダ乗りしよう!」などと考えないように!ホーム上にも券売機がありますが、不安であれば写真5に見えているチケットカウンターに行くと良いと思うよ!
写真6. 先発列車はHanau行き
先発列車はHanau行きです(写真6)。Frankfurt Hbfを通る列車はフランクフルト中心部を通る系統ですので、フランクフルト市内に向かいたい場合は思考停止状態で乗って構いません。現に私も思考停止状態で乗りました。
お前はいつも思考停止で生きてるって?そこは触れない約束です!
写真7. 線路沿いの壁面に掲示されている路線図
線路沿いの壁面に路線図が掲示されます(写真7)。
写真8. 系統の経由駅が書かれる
系統の経由駅が書かれた掲示物もありました(写真8)。
写真9. S8の拡大
これから進む方向が黄緑色で表示され、中央駅やその先に向かうことがよくわかります(写真9)。空港駅ということで、不慣れな人への案内に気を遣っている様子が伝わります。
写真10. S8がやってきた
15分間隔のSバーンがやってきました(写真10)。S8は黄緑色ですが、車体色は赤色です。路線図のラインカラーと車体色が一致していませんが、ドイツはおろか、ヨーロッパの多くの都市は路線図のラインカラーと車体色は一致させていません(例外もありますが)。そのため、黄緑色でない車体がやってきてもビビる必要はありません。
写真11. 車内の様子
車内の様子です(写真11)。ボックスシート主体の車内で、朝の8時ごろという時間帯ゆえか、座席は埋まっています。逆に、ドイツ第5の都市であっても朝ラッシュ時の混雑は座席に座れるかどうかというレベルで収まっているということです。
広い意味で通勤電車ですが、車内の照明などのデザインには凝っていると感じました。
写真12. ドアは複層ガラス
ドアは複層ガラスです(写真12)。曇りにくいガラスです。
写真13. 地上に上がる
意外と速度を出しながら地上に上がります(写真13)。もっともここは駅ですので、速度は上がりません。
写真14. 市街地に近づく
市街地に近づきます(写真14)。
写真15. 都市近郊の駅に停車
都市近郊の駅に停車します(写真15)。おそらくFrankfurt (Main) Niederradです。フランクフルトの副都心的位置づけで(観光客は行くエリアでなくとも)多くの人も目的地となるエリアなのでしょうか?
写真16. マイン川を渡る
マイン川の南岸から北岸に渡ります(写真16)。
写真17. 多くの車両が見える
多くの車両が見えます(写真17)。ドイツ国内でも規模の大きい駅とあり、周辺には線路が多いです。
写真18. フランクフルト中央駅に到着!
フランクフルト中央駅に到着しました(写真18)。
写真19. フランクフルト中央駅に到着
フランクフルト中央駅に到着しました。Sバーン以外は地上のホームに到着します(中央駅の東側に行けない)が、Sバーンは地下ホームに発着する系統があります。フランクフルト中央駅といえど、市街地の西側に位置し、市街地の中央を東西に貫くためには地下を通すしかないのです。この先は中心部を進みます。
フランクフルト空港からフランクフルト中央駅に向かってみて
写真20. 空港駅は大荷物をかかえた乗客が多い(私はこれより軽装でした!)
ドイツひいてはヨーロッパの玄関口のフランクフルト空港。ここから市内へのアクセス交通は案内などに気を遣っていました(路線図のラインカラーと車体色が一致しないなど、日本人からするとまだまだのところはありますが)。
道中もストレスのない速度で走り、市内中心部にも乗りかえなしという点は強いです。空港駅を通り抜けるのは一見わかりにくいですが、空港の反対側(マインツなど)にもダイレクトにアクセスできるという強みもあります。
空港アクセス1つとっても、日本との違いを感じさせる瞬間でした。
重要本記事で詳細に解説しますが、ドイツの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく、一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。
- 販売ページ:BOOTH(電子版、PDF形式、1700円)、Amazon(ペーパーブック形式)
- 内容の詳細:ドイツ鉄道大全のご案内
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)シンガポールからフランクフルトへの航空便(経由便への搭乗)
フランクフルト空港からフランクフルト中央駅への移動:現在地
★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。
コメント
ドイツ鉄道は改札がないために、日本のような「乗越精算」のような取扱いがない。フランクフルト中央から空港へ向かう時に、駅の自販機で切符を間違って空港の手前の駅までのを買ってしまい、まあ降りる時に精算すればいいやと思っていた。ところが検札に来た職員に指摘され、罰金をたしか10,000円以上相当払う羽目に。一切の融通はなく、許してくれない。正しい切符がなければ多額の罰金とは、いかにもドイツらしいと思った。
クラゲさま、コメントありがとうございます。
インターネットでの記述で、指摘前に申し出ると良いとも聞いたことがあります。
他方で、少しでも融通を利かせると収拾がつかなかったり、不公平になるという側面もありましょう。
このたびは貴重な経験談を共有いただきましてありがとうございました。