京王電鉄京王線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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東京都心部と多摩地方を結ぶ大動脈の京王電鉄京王線(以下京王線と記します)。地下鉄直通と新宿発着が混じったり、途中で橋本方面に分岐したりと、ダイヤ作成の際の考慮条件は多いです。では、どのようなダイヤになっているのでしょうか。簡単に紹介しましょう。

京王7000系準特急(明大前)

写真1. 準特急が主力となってきた(明大前)

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

地下鉄側の発着駅について

京王線は都心側で都営新宿線と直通しています。新宿線の都合で本八幡まで行かない場合もあります。しかし、京王線の利用者的には都心まで向かえばおおむね役割を果たしたことになるでしょう。そこで、本記事では地下鉄側の行先は触れないことにします(大島発着でも本八幡発着でも関係ないということです)。

京王線の停車駅

京王電鉄が公式に公表している路線図を示します(図1)。

京王路線図

図1. 京王の路線図(公式ホームページより引用)

京王ライナー特急急行区間急行快速各駅停車があり、複雑な感じがしてしまいます。しかし、そこまでびびる必要はありません。

基本となるのは、急行の停車駅です。それに対し、以下の違いがあると記憶するだけです。

  • 特急:桜上水、つつじヶ丘と東府中は通過、ただし高尾線内は各駅に停車
  • 区間急行:仙川を追加し、相模原線内と府中以西は各駅に停車
  • 快速区間急行が基本だが、下高井戸と八幡山を追加、調布以西は相模原線を含み各駅に停車
  • 京王ライナー:新宿-府中、京王永山は明大前以外ノンストップ、それ以外は急行と同じ

このように基本と違いを分けて覚えると、比較的覚えやすいと思います。

22年3月ダイヤ改正までの停車駅

以前の路線図を示します(図2)。

京王路線図

図2. 京王電鉄の路線図(公式ホームページの路線図公式ホームページの路線図より)

本数の少ない京王ライナーはともかく、特急準特急急行区間急行快速各駅停車があり、複雑な感じがしてしまいます。しかし、そこまでびびる必要はありません。

特急準特急急行は相模原線内の停車駅は同じ
※これらの3つの種別の停車駅の違いは、新宿-高尾だけです。

急行区間急行の停車駅の違いは仙川と東府中以西と相模原線だけ
区間急行は相模原線内は各駅に停車、急行は通過駅あり

区間急行快速は相模原線内は各駅に停車

覚えかたは特急急行快速だけにして、区間急行急行から派生して記憶、、準特急特急から派生して記憶(笹塚、千歳烏山、高尾線各駅)とすれば全部記憶することの手間からは解放されます。さらにいうと、無理に覚える必要もありません。覚えないということはその情報を必要としないということですから。

これらの種別の有機的な結合については、以下の章で詳しく紹介します。

京王線の朝ラッシュ時上りのダイヤパターン

都営10-300系(明大前)

写真2. 明大前がネック(これは昼間に撮影)

これといったパターンはありませんが、10分に速達列車が2本程度、各駅停車も2本程度設定されています。

明大前基準で7:41~8:40まで28本運転され、内訳は以下の通りです。

  • 京王ライナー:2本(京王八王子発、橋本発各1本)
  • 特急:2本(京王八王子発、橋本発各1本)
  • 急行:6本(京王八王子発3本、高尾山口発1本、橋本発1本、多摩センター発1本)
  • 区間急行:8本(京王八王子発2本、橋本発5本、高尾山口発1本、高尾山口発は2024年ダイヤ改正までは急行)
  • 各駅停車:10本

ラッシュ時のピークは12分程度に5本運転され、うち2本は各駅停車、3本は急行区間急行です。各駅停車は調布から新宿の間でつつじヶ丘で急行待ち(区間急行は待たない)、八幡山で区間急行急行待ちをします。つつじヶ丘で区間急行を待たないのは、区間急行が次の仙川にも停車し、列車間隔を開かなくてはならない(次の駅が通過だと、速達列車発車後すぐに各駅停車が発車できる)ためです。

桜上水でも待ち合わせることは可能で、ここで追い抜けば速達列車のスピードアップはできますが、そうすると速達列車に乗客が集中するので得策ではありません。とはいえ、特急は桜上水で待避しても乗客は乗りかえませんから(特急が停車しないため)、特急運行時は各駅停車を桜上水でも追い抜きます。

基本的に急行が京王八王子や高尾山口から新宿に向かい、区間急行が相模原線から都営新宿線に直通するのが基本ですが、相模原線に急行を運転するために、相模原線からの急行と京王八王子からの区間急行という組み合わせもあります。

京王新線では新宿着8:00~8:59の間に16本が運転され、そのうち6本が笹塚以西からの運転、10本が笹塚始発です。

過去

2023年3月ダイヤ改正までは以下のパターンで運転されていました。

これというパターンはありませんが、明大前基準で7:41~8:40まで26本が運転されています。これというパターンはありませんが、内訳は以下の通りです。

  • 特急:2本(京王八王子発と橋本発)
  • 急行:7本(京王八王子発3本、高尾山口発2本、橋本発1本、多摩センター発1本)
  • 区間急行:7本(京王八王子発2本、橋本発5本)
  • 各駅停車:11本

ラッシュ時のピークは11分~13分で1サイクルとなっており、速達列車3本:各駅停車2本の割合です。基本的に速達列車2本が連続するときは急行区間急行の続行で、区間急行が前に走ります。

京王新線では新宿着8:00~8:59の間に16本が運転され、そのうち6本が笹塚以西からの運転、10本が笹塚始発です。

22年3月ダイヤ改正以前

これというパターンはありません。ラッシュ時ピーク時は急行区間急行各駅停車が運転されます。ピークを外れると、準特急が運転され、さらにピーク時から外れると、特急京王ライナーが運転されます。

文章にしてもわかりずらいでしょうから、以下にまとめます。

・新宿着7:45~8:36は準特急の運転はない(7:44着と8:37着はあります)

・新宿着7:19~7:44と8:37~9:24は特急の運転はない
京王ライナーは9:08着と9:16着はあります

新宿着7:50~8:49(明大前7:40~8:39)をピーク時と考えると、以下の通り運転されています。

  • 各駅停車は11本運転、うち1本は都営新宿線直通
  • 区間急行は7本運転、うち4本が都営新宿線直通
  • 急行は7本運転、うち1本が都営新宿線直通
  • 準特急は2本運転

合計27本運転という形態です。乗り降りに時間がかかって停車時間がかさむ明大前の上り線が1線しかないので、これ以上の運転は難しいです。将来的に乗り降りに時間がかかる明大前と千歳烏山の上り線が2線になります。そのあかつきには完全な2分間隔運転もできるでしょうが、現在は困難です。

明大前7:40~8:39という60分に絞ってみてもこれといったパターンはありません。唯一いえるのは、基本的に各駅停車と各駅停車の間は速達列車が1本以上はさまることです。多くの場合は、速達列車は2連続です。速達列車が2本連続で運転される場合、2本連続の1本目がつつじヶ丘で各駅停車と接続の上、追い抜きます。2本目は八幡山で通過追い抜きます。速達列車への乗客集中を避けるため、桜上水での待避はありません。ただし、追い抜く列車が準特急の場合は、このような懸念がないので、桜上水で追い抜きます。

一般的に、速達列車と各駅停車の緩急結合の場合、速達列車は次の駅通過が望ましいです。そうしないと、各駅停車をすぐに発車させることができないためです(すぐに発車させても次の駅で詰まるため)。そのような原則に従って、つつじヶ丘で緩急結合する速達列車は急行です。区間急行は次の仙川に停車するため、各駅停車をすぐに発車させることができません。これを防いでいるのです。

区間急行が仙川に停車するのは利用状況を踏まえたものでしょうが、ダイヤ的にはマイナスです。このマイナスを列車の運転順序を考慮することで補っているのです。

このため、区間急行は速達列車が2連続で発車するときに限定され(※)、その2本目に充当されます。

※例外は調布7:24発の区間急行(都営線直通)です。この区間急行はつつじヶ丘で各駅停車を抜かしません。

ピーク時は10分未満の間隔で急行区間急行が運転されます。多くの場合は相模原線からの区間急行が都営線に直通し、京王八王子・高尾山口方面からの急行は新宿に向かいます。しかし、これでは相模原線の速達列車がないことになってしまいます。そのフォローのため、1回だけ相模原線からの急行が都営新宿線に向かい、京王八王子からの区間急行が新宿に向かう組み合わせがあります。

基本的に各駅停車は相模原線からの運転はなく、多くが高尾山口始発です。

調布から新宿までまともに抜かすことがないため、朝ラッシュ時のピーク時は急行といえども、時間がかかってしまいます。主要駅から新宿までの所要時間は以下の通りです。

・調布:33分
・府中:42分
・高幡不動:52分
・京王八王子:61分

・京王多摩センター:50分(新線新宿までの所要時間)
・橋本:59分(新線新宿までの所要時間)

ただし、最ピーク時を外すと準特急が運転され、所要時間は以下の通りです。

・調布:26分(最ピーク時より7分短縮)
・府中:34分(最ピーク時より8分短縮)
・高幡不動:45分(最ピーク時より7分短縮)
・京王八王子:54分(最ピーク時より7分短縮)

・京王多摩センター:46分(最ピーク時より4分短縮、調布から新宿まで30分)
・橋本:55分(最ピーク時より4分短縮、調布から新宿まで30分)

相模原線から新宿までの所要時間が長いのは、当該の準特急(新宿着8:37)が調布から新宿まで30分で走り、京王八王子からの準特急(新宿着8:44)より4分余計にかかっているためです。

無理をすれば、最ピーク時にも準特急を設定することもできるでしょう。これをやらないのは、ピーク時前後の速達性(=魅力)を相対的に上げて、可能な限り最ピーク時前後に利用をシフトしようという意図もありましょう。

京王新線では、新宿着8:00~8:59の1時間に17本運転されています。うち、京王線笹塚以遠からの直通が6本あり、残りの11本が笹塚始発です。京王線の運転本数のおおよそ半分の運転です。それだけ、新線新宿が避けられている様子がわかります。これというパターンはなく、だいたい3~4分に1本の運転です。急行だの区間急行だの称していても、京王新線内は各駅にとまるので、追い抜きもありません。

京王線の日中時間帯(昼間)のダイヤパターン

京王8000系(八幡山)

写真3. 八幡山で待ち合わせする各駅停車

日中時間帯は20分サイクルで運転されています。その内訳は以下の通りです。

  • 特急:3本(新宿-京王八王子、新宿-高尾山口、新宿-橋本)
  • 区間急行:1本(都営新宿線直通-橋本)
  • 快速:1本(都営新宿線直通-橋本)
  • 各駅停車:2本(新宿-京王八王子、新宿-高尾山口)

軸となるのが、新宿-京王八王子の特急と、新宿-高尾山口の特急です。両者は新宿-北野で10分間隔で運転され、高尾山口系統は北野で京王八王子発着の各駅停車に、京王八王子系統は高尾山口系統の各駅停車にそれぞれ連絡し、新宿-京王八王子、高尾山口のどちらにも10分間隔の乗車チャンスが確保されています。

特急の4分前(上りは4分後)に新宿-橋本の特急が運転され、その特急の前後に快速が運転されます。この快速は八幡山で橋本発着の特急に抜かれます。

快速に10分前後した時刻で区間急行が運転されます。区間急行は笹塚-調布では特急に抜かれることはありません。

相模原線に向かう快速区間急行は調布で府中方面の特急と連絡します。特急を活用することで、新宿方面と相模原線の各駅を速達性を確保しています。

各駅停車は上下とも新宿-調布で八幡山で特急待ち、つつじヶ丘で(快速または区間急行)と特急待ち、府中で特急待ちがあります。

八幡山で各駅停車か快速が待避する形態ですから、新宿から向かう際、千歳烏山で特急からの接続は良好です。そのため、千歳烏山-布田(調布の1つ新宿寄りの駅)の移動でも特急を活用できます。

以前は新宿から京王八王子まで38分でしたが、これが42分まで後退しています。以前のダイヤより均等なサービスに重点が置かれているように感じます。

22年3月ダイヤ改正以前

京王線は基本的にパターン化が進んでいます。昼間は20分サイクルで運転されています。このサイクル中に特急準特急区間急行快速各駅停車が設定されています。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 特急:新宿-高尾山口(土休日は新宿-京王八王子)1本
  • 準特急:新宿-京王八王子(土休日は新宿-高尾山口)1本と新宿-橋本1本
  • 区間急行:都営新宿線-橋本1本
  • 快速:都営新宿線-橋本1本
  • 各駅停車:新宿-京王八王子1本と新宿-高尾山口1本

以下、これらの有機的な結合パターンを示します(表1)。基本的に下りで説明しますが、上りでも同様です。

表1. 日中時間帯の下りパターン

京王日中ダイヤパターン(下り)

特急は北野で京王八王子発着(土休日は高尾山口発着)の各駅停車に、準特急は北野で高尾山口(土休日は京王八王子発着)の各駅停車に、それぞれ接続します。そのため、新宿から京王八王子や高尾山口への乗車チャンスは20分に2回確保されます。

また、特急は調布で橋本発着の快速に、橋本方面に向かわない準特急は調布で区間急行に接続しますので、京王多摩センターまでの乗車チャンスは20分に3回確保されます。

日中時間帯の主軸となるのは特急準特急です。基本的に新宿-北野は特急準特急を合わせて10分隔でそれに新宿-橋本の準特急が加わります。とはいえ、新宿-調布である程度運転間隔を均等にするために、下りの特急準特急の新宿発車間隔は5~8分間隔になるように調整されています。具体的には、特急の7分後に、京王八王子(休日は高尾山口)に向かう準特急を発車させます。調布までの停車駅の違いが2つありますので、調布時点ではだいたい10分間隔になっているという算段です。その5分後に橋本発着の準特急が発車します。この準特急は後の特急まで8分間隔が開いているので、調布まで逃げ切ります。調布まで逃げ切ったら、あとは別方向に向かうので、特に関係ありません。

次に速いのは区間急行です。都営線からやってきて、特急のすぐ後に発車します。この後、つつじヶ丘で各駅停車と接続し、調布まで逃げ切ります。調布まで逃げ切ったら、あえて準特急と接続します。これによって、相模原線の各駅と新宿の速達輸送も担います。

通過駅のある各駅停車、といえるのが快速です。笹塚で準特急京王八王子行き(土休日は高尾山口行き)と接続後に発車します。八幡山で後の準特急行きに抜かされ、つつじヶ丘で各駅停車と接続のうえ追い抜き、調布まで逃げ切ります。調布で特急と相互接続し、相模原線に向かいます。

準特急は千歳烏山で各駅停車快速に接続します。快速は次の仙川に停車し、その次のつつじヶ丘で各駅停車に連絡します。つまり、快速に乗りかえれば、調布までの通過駅に向かえるのようになっています。これはこれでうまく考えたものです。

ただし、その犠牲は準特急京王八王子行き(土休日は高尾山口行き)に現れています。先発の各駅停車との間隔を開くために調布で3分も停車しています。1分停車でじゅうぶんなので、2分損していることになります。これを改善するには、各駅停車を橋本に向かわせて、区間急行快速を高尾山口(なり京王八王子)に向かわせる必要があります(表2)。こうすると速達性は向上しますが、調布での接続が同方向となり利便性が若干低下してしまいます。

現在は、平日の高尾線各駅は20分に1回の乗車チャンスで充分なので、特急を運転していて、休日は平均10分間隔の乗車チャンスが必要ということで準特急の運転としていますが、平日と休日で運転パターンが異なるのはわかりにくいです。そうであれば、休日と同等の運転パターンとすることも親切でしょう。北野-高尾の小運転の各駅停車を運転することも手でしょうが、そこまでは考慮していません。

表2. 日中時間帯の下り運転パターン

京王日中ダイヤパターン(下り、アレンジ)

各駅停車は八幡山で特急または準特急の通過を待ち(上りは桜上水)、つつじヶ丘で快速区間急行と待ち合わせて接続、府中で特急または準特急と待ち合わせて接続、北野で別方向の特急または準特急と待ち合わせて接続というパターンです。

新宿からの所要時間は以下の通りです。

・調布:14分
・府中:21分
・高幡不動:29分
・京王八王子:42分(準特急利用、土休日は特急で38分)
・高尾山口:47分

・京王多摩センター:30分
・橋本:40分(多摩センターから各駅停車として運転、土休日は38分)

京王線の夕方ラッシュ時のダイヤパターン

都営車による区間急行

写真4. 夕方も区間急行が運転される

基本的には20分サイクルのパターンダイヤです。ただし、京王ライナーが1時間に3本(京王八王子行きが毎時1本、橋本が20分、40分間隔、調布まで20分間隔)(2023年までは京王八王子方面1本、橋本方面1本)が挿入される関係で、完全な20分サイクルではありません。新宿発18:01~20:00までは(京王ライナーを除いて)以下のパターンで運転されています。

  • 特急:3本(新宿-京王八王子2本、新宿-橋本1本)
  • 急行:1本(都営新宿線-橋本)
  • 区間急行:1本(都営新宿線-橋本)
  • 各駅停車:2本(新宿-高尾山口2本)

01分と12分に特急京王八王子行きが発車し、いずれも笹塚で都営線からの急行区間急行を追い抜きます。特急が11分間隔が開いているところに特急橋本行きが入り、09分に発車します。特急橋本行きは千歳烏山で接続列車がありません(接続列車は直後の特急京王八王子行きの直後です)。そうはいっても、千歳烏山を通過しても、調布で1分前に区間急行が先行しているので、スピードアップはできません。

特急京王八王子行きはダイヤ改正で停車駅は増えていますが、所要時間は43~44分から42~43分とかえって短縮されていました。ただし、2023年には所要時間が戻っています。また、京王ライナー(京王八王子行き)の直後の特急京王八王子行きは45分から47分に増えています。これは直前の各駅停車が高幡不動で待避するため、その後続の特急京王八王子行きも速度を上げられないためです。

調布で特急京王八王子行きと(各駅停車橋本行きか区間急行橋本行き)が接続します。このことで、調布断面で速達列車の4分前に各駅にとまる電車が発車していましたが、これが6~7分間隔が開くことで、後続の速達列車が多摩センターまで本来の速度で走れるようになりました。

このことで、調布断面で京王線府中方面の各駅停車と後続の速達列車の運転間隔が縮み、後続の速達列車の速度が上がらないという懸念も感じるかもしれません。しかし、そのようなことはありません。今回、調布断面で府中方面と橋本方面の速達列車の発車タイミングがずれることにより、調布断面で「適切」なタイミングを変えています。したがって、これらがバッティングすることがないのです。

22年3月ダイヤ改正以前

基本的には20分サイクルのパターンダイヤです。ただし、京王ライナーが1時間に2本(京王八王子方面1本、橋本方面1本)が挿入される関係で、完全な20分サイクルではありません。新宿発18:01~20:00までは(京王ライナーを除いて)以下のパターンで運転されています。

  • 特急:新宿-京王八王子2本
  • 準特急:新宿-橋本1本
    京王ライナーの直前は京王多摩センターから各駅に停車
  • 急行:都営新宿線-橋本1本
  • 区間急行:都営新宿線-橋本1本
     ※京王多摩センター断面で京王ライナーの直前は京王多摩センター行き
  • 各駅停車:新宿-高尾山口1本、新宿-橋本1本と調布-高尾山口1本
     ※新宿発橋本行きは調布で高尾山口行きには接続しません

この他に、毎時00分に京王ライナー京王八王子行きが、毎時20分に京王ライナー橋本行きを設定

基本的には日中時間帯と同様のパターンで運転されます。異なるのは、相模原線内も速達列車が10分間隔で運転されることです。新宿-調布で列車を流しやすくするためか、快速ではなく、急行を設定しています。

また、日中時間帯は準特急は調布で接続はありませんが、夕方時間帯は準特急は後の特急を待ちます。また、急行も調布で特急を待ちます。特急に利用が集中しそうなダイヤですが、新宿や明大前断面で特急の直前に準特急が設定され、調布利用者を分散している側面もあります。

それなりに考えられた列車配列ですが、京王ライナー増発により、以前よりも所要時間が増加しているのは気になります。

新宿からの特急の所要時間は以下の通りです。

・調布:17分
・府中:25分
・高幡不動:34分
・京王八王子:43分
・高尾山口:55分

2021年ダイヤ改正前のパターン

夕方ラッシュ時も20分サイクルのパターンダイヤです。本数も日中と同じですが、橋本直通が準特急から特急に変わること、快速急行に変わることが大きな違いです。

具体的には、以下のパターンで運転されます。

特急:新宿-京王八王子1本、新宿-橋本1本
準特急:新宿-京王八王子1本
急行:都営新宿線-橋本1本
区間急行:都営新宿線-調布1本(調布から各駅停車高尾山口行き)
・各駅停車:新宿-橋本2本と調布-高尾山口1本

基本的に日中時間帯と同じ設定本数です。違うのは相模原線内の速達列車が20分間隔から20分に2本と増えることと、遅延防止のためか種別が若干異なるくらいです。興味深いのは、区間急行が相模原線に向かわず、調布から各駅停車扱いになって高尾山口になることです。これでは各駅停車の本数が足りませんので、調布始発の各駅停車も設定されます。これにより、調布以西の各駅でもほぼ10分に1回の乗車チャンスが実現されます。

区間急行急行も調布まで逃げ切ります。特に、区間急行は後の準特急から逃げ切りますので、逆にいうと準特急の所要時間は調布まで20分と日中時間帯よりも3分も遅いです。

新宿からの特急の所要時間は以下の通りです。

・調布:16分
・府中:23分
・高幡不動:31分
・京王八王子:40分
・高尾山口:56分

・京王多摩センター:31分
・橋本:39分

日中時間帯でも準特急特急は混んでいます。それが夕方に増発されていないのは問題です。そうであれば、10分サイクルとして、以下のパターンとするのも1つの手です。

特急:新宿-京王八王子1本
準特急:新宿-橋本1本
急行:都営新宿線-調布(調布から各駅停車)1本
各駅停車:新宿-橋本1本

区間急行急行に格上げて、後続の準特急のスピードアップを考慮した形(=さらに直後の特急も早く調布に入線できるようにしてサイクルを縮めることが可能)となっています。

このダイヤでは特急系のうち、比較的ゆとりのある橋本行きを準特急に統一し、千歳烏山へ向かう乗客を八王子系統に乗せないようにしています。また、調布までの多くの利用者も準特急に仕向けています。これで、特急の混雑を緩和しています。

京王線のダイヤパターンまとめ

京王線のダイヤはそれなりに考えられているものとなっています。沿線人口も多く、各駅停車から速達列車までバランス良く形作られたダイヤを考えるのは至難の業で、それが高度に実現されている点は称賛に値します。

ただし、2001年のダイヤのような速達性(特急で新宿から京王八王子まで34分)が今はだいぶ後退している点は残念です。このころよりも便利で遅れに強いダイヤになっているのは事実ですが、残念な点もあります。現在の車両の加速性能は高く、スピードアップの余地はあるように思えます。調布のホームドアの動作スピードなど、多少の改良で若干のスピードアップは可能でしょう。

これからは「働き方改革」の美名のもと、労働時間を短縮する社会風潮です。列車の運転時間は、即「労働時間」にカウントされます。運転時間を削減することで、鉄道会社側の「労働時間」を短縮することも必要でしょう。

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コメント

  1. 南町田 より:

    夕ラッシュ時のパターンが結構変わっているので、追記していただけると嬉しいです。

    • tc1151234 より:

      南町田さま、コメントありがとうございます。

      2021年ダイヤ改正を見落としていました。申し訳ありません。夕方時間帯について訂正させていただきました。ダイヤ改正前の記述も残しつつ、最新の事情を反映いたしました。