さよなら!中央線快速の10両編成!

記事上部注釈
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2025年3月ダイヤ改正で営業を開始する中央線快速のグリーン車。連結前の10両編成から2両を増結する形で行われ、10両編成が姿を消すことになります。そんな様子を記しました。

写真1. 都区内を走る10両編成

注意

本記事では、中央線東京地区のオレンジ色の電車をまとめて中央線快速と称しています。そのため、各種快速も含むと解釈ください。

中央線快速の10両編成

写真2. 最混雑時間帯は新宿などでの交互発着を活用し、2分間隔を実現してきた

明治維新以降、近代化を進めてきた日本、そしてそれに歩調を合わせるように発展してきた首都の東京。そこに建設された鉄道路線は例外なく輸送力増強に励んできました。中央線快速はその代表例であり、下記の通り編成両数を増強してきました。

  1. 1950年以前は最大7両編成で運転
  2. 1950年に最大8両編成に増強
  3. 1954年に最大9両編成に増強
  4. 1956年に最大10両編成に増強

この後の輸送力増強についてはバイパス線の地下鉄2路線(丸ノ内線や東西線)の建設、複々線区間の延伸(三鷹以東複々線化)、近年に入ってからは地下鉄大江戸線の延伸もその対策でしょう。広い視点で眺めると、武蔵野線の開業や沿線開発による面的ネットワークの充実も中央線の負荷軽減につながったでしょう。

他方で、中央線快速そのものは、(保安装置の発展による本数増強があったものの)10両編成の最小2分間隔から進化せず、ある意味1956年の姿を保ってきました。

これが変わるのが2000年代のグリーン車連結の流れです。2005年にはオール普通車だった宇都宮線や高崎線にグリーン車が導入され、2007年には常磐線(中距離電車)も続きます。当然、5方面の中央線も同様にニーズがあるでしょう。それを踏まえ、2015年に発表がなされました。

着席サービスに対するニーズの高い中央線等について、着実なサービス改善を目指し、中央快速
線等に、新たに2階建てグリーン車2両を連結(12両化)します。これにより、首都圏の主要5方面(東海道、中央、東北、常磐、総武方面)すべてにグリーン車が導入されることとなります。

中央快速線等へのグリーン車サービスの導入について(2015年2月発表、JR東日本公式サイトより引用、一部太字等で編集)

ここで印象的だったのは、従来の10両編成のまま普通車をグリーン車に置き換えるのではなく、12両編成に増結することです。

宇都宮線や高崎線は朝ラッシュ時の増発(このときに大宮以南で完全な3分間隔に増発された)や夕方の15両編成化(従来は夕方でも10両編成が多かった)によってフォローできました。常磐線はつくばエクスプレスへの流出による混雑緩和や、オール普通車の快速電車が存続することで問題が極小化されるとの見立てがありました。

中央線快速にはそのようなフォローは不可能であり、10両編成のままグリーン車を増結することは事実上不可能でした。そこで、グリーン車を増結する12両編成になったのです。こうすれば、(グリーン車に隣接する車両の混雑が激しくなるという点があるとはいえ)普通車の輸送力は全く下がらず、普通車のサービスダウンなく、グリーン車サービスが実現します。

2015年の報道で、長らく続く10両編成の輸送体系が進化することが明らかとなったのです。ホームが延伸される駅を最小限にするため、従来の快速用車両による東京駅発着の各駅停車は廃絶されるという面もありました。

これは視点を変えれば1956年以降、久しぶりとなる中央線快速の編成増強でもあります。グリーン車の車両の連結は一気にはできず、2024年10月13日以降に徐々に編成が増強され、2025年3月14日いっぱいでその作業が終わるのです。

このため、2024年10月12日以前は100%だった10両編成の快速電車は、徐々に12両編成に置き換わり、2025年3月15日以降は10両編成、オール普通車の快速電車は廃絶されるのです。

10両編成の姿を見る

さて、実際に10両編成の姿を見てみます。

写真4. 御茶ノ水に入る10両編成

御茶ノ水に入線する上り快速の10両編成です(写真4)。2階建てグリーン車が連結されていないので、10両編成とわかると思います。

動画1. 御茶ノ水を発車する上り電車

ちょっと場所を変えて10両編成が発車する動画を撮影しました(動画1)。

写真5. 市ヶ谷から飯田橋を走行する10両編成

市ヶ谷を通過し、飯田橋に向けて走る10両編成です(写真5)。こちらのアングルのほうが10両編成とわかりやすいですね!

写真6. 直後に来た下り電車は12両編成

直後にやってきた下り電車は12両編成でした(写真6)。10両編成と12両編成が混在するのは、過渡期ならではの光景です。

写真7. 各駅停車は10両編成のまま存置

各駅停車は10両編成のまま存置されます(写真7)。このような編成両数の差が各駅停車の東京発着を廃止する理由になりました。

写真8. 反対側だと10両編成だとわかりにくい

このアングルだと10両編成とわかりにくいですが(写真8)、東京側から4両目が2階建てでないことで、グリーン車なしの10両編成とわかるでしょうか。

写真9. 駅には12両の表示がある(御茶ノ水で撮影)

駅の電光掲示板には12両の表示があります(写真9)。10両編成と12両編成が混在し、乗車位置がわかりにくいことへの対策です。12両編成に統一後は両数表示はなくなるのでしょうか。

写真10. 10両編成の下り列車

10両編成の下り列車が多摩川を渡ります(写真10)。今回の記事では「10両編成への惜別」という主題で記事を書いていますが、快適なグリーン車がなく、編成も短い10両編成は、もはや「外れ」と意識される存在かもしれません。

動画2. 10両編成が走行する様子

動画にも収録しました(動画2)。

動画3. 分割10両編成が走行する様子

分割の10両編成が走行する様子です(動画3)。グリーン車付きとはいえ、8両編成と輸送力はそれなりです。青梅特快の拝島での分割・併合を妄想したくなりますが(8両編成は青梅発着、4両編成は武蔵五日市発着)、近年は分割・併合を避ける傾向にあり、なかなか難しそうです。

写真11. 12両編成が去る

12両編成が去りました(写真11)。2025年3月15日以降は「当たり前」となる光景です。

写真12. 12両編成の特急列車は以前から存在

中央線の高尾以東において、12両編成は決して目新しいものではありません。先代の特急車のE351系時代でも特急列車は12両編成が組成され、現在のE353系電車では9両編成か12両編成で運転されています(写真12)。これらの12両編成に対応するために特急停車駅のホームは12両対応となっており、それが今回の工事の難易度を下げた側面はありましょう。

積み重ねの重要性を改めて実感しました。

写真13. 8両編成のオレンジ色の電車は存続

8両編成のオレンジ色の電車は存続します(写真13)。武蔵野線に直通するむさしの号です。この系統も急行型から近郊型、そして通勤型と充当車両が変更された系統です。停車駅増加もあり、より日常に溶け込んだ存在なのでしょう。その割に平日の中央線直通は2往復と乗車チャンスは限られていますが…。

大宮直通の需要の多い朝ラッシュ時はダイヤ上の余裕がなく(武蔵小金井始発に相当する箇所は通勤特快等が速度差をつけるために挿入できない)、ダイヤ上の余裕がある日中時間帯はそもそも大宮直通の需要が少ないということでしょう。

数か所で撮影しましたが、1956年以降の10両編成という光景がなくなることによるショック、むせび泣くなどさまざまな感情をあらわにする利用客やファン、そして感が極まったあまりに秩序を失う駅や沿線といった光景を覚悟していました。最悪、国家安全を最重視し、撮影途中で撮影禁止が宣言され、趣味活動が取り上げられるという事態も1つのシナリオとして組み込んでいました。しかし、(12月や1月に撮影したためか)そのような光景も想像でしかなく、肩透かしを食らったのも事実でした。これは長編成化によるサービスアップによるものがあるかもしれません。

中央線からオレンジ色の10両編成がなくなることについて

写真14. 名古屋地区からなくなった10両編成(2022年に大曽根で撮影)

2022年には中央線名古屋地区から10両編成が廃絶されました。それから遅れること3年、今度は中央線東京地区からオレンジ色の10両編成が廃絶されます。

名古屋地区の10両編成消滅は短い編成の廃絶によるサービスアップ(減車となる平日朝時間帯は増発された)。東京地区の10両編成消滅は着席サービス向上に寄るサービスアップと、いずれもサービスアップにつながります。

かつてはともに103系10両編成が走っていた両者の中央線。それから長い年月が経過し、両者で異なる形態に進化します。このような進化の過程で10両編成は廃絶されます。このように輸送体系は少しずつ変化し、このような感傷的な気持ちは時代の隙間に埋もれるのです。

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