オランダの首都、アムステルダム。欧州の首都らしく、市内交通は充実しています。そんなアムステルダムの市内交通を堪能しました。
写真1. ダム電停付近を走行中の2系統
重要本記事ではGVBとNSという単語を出しますが、以下の通りです。
- GVB:アムステルダムの地下鉄、路面電車、バスなどを運営する組織(東京でいう東京都交通局のようなものです)。市内交通
- NS:オランダ国鉄。国鉄駅を発着する国際列車などオランダ国鉄運営でない列車も走っていますが(例えばユーロスターやナイトジェット)、本記事では細かいことは無視します
アムステルダムの市内交通の概要
アムステルダムの市内交通の路線網
アムステルダムの市内交通は以下の5つがあります。
- 地下鉄
- 路面電車
- バス
- 国鉄
- 船舶
アムステルダムの観光名所をめぐるのは路面電車があれば足ります。一方、地下鉄やバスを利用する機会はあまり多くなく、(観光客視点では)国鉄はスキポール空港に行く際に使う程度でしょう。
特筆すべきのが船であり、中央駅から北の再開発地区に向かう際などに使います(本サイトで紹介したクルーズ船とは別ものです)。こちらも観光客が使う機会はそう多くないでしょう。
本記事では、地下鉄と路面電車を紹介することにします(スキポール空港アクセスの国鉄については別記事で紹介する予定です)。
図1. アムステルダムの地下鉄と路面電車の路線図(GVB公式サイトより引用)
まず、アムステルダムの地下鉄と路面電車の路線図を示しました(図1)。
図2. アムステルダムの地下鉄、路面電車とバスの路線図(GVB公式サイトより引用)
バスも含めた路線図も示しました(図2)。「普通」の観光ガイドにはここまでの情報は掲載されておらず、そのような意味で本記事は有用です。
アムステルダムのチケット
アムステルダムは他の都市と同様、多くの種類のチケットがあります。主要なチケットの概要をまとめます(表1)。
表1. アムステルダムの主要なチケット
名称 | 価格 [€] | 効力 |
1時間券 | 3.40 | 1時間有効 |
1日券(24時間券) | 9.00 | GVB管内、24時間有効 |
2日券(48時間券) | 15.00 | GVB管内、48時間有効 |
3日券(72時間券) | 21.00 | GVB管内、72時間有効 |
4日券(96時間券) | 26.50 | GVB管内、96時間有効 |
Amsterdam Travel Ticket(1日) | 18.00 | GVB管内、空港までのNS線 |
Amsterdam Travel Ticket(2日) | 24.00 | GVB管内、空港までのNS線 |
Amsterdam Travel Ticket(3日) | 30.00 | GVB管内、空港までのNS線 |
※NS(オランダ国鉄線)でアムステルダム中央駅-スキポール空港までは4.9€
最も価格の安いものは1時間券です。1日に移動が2回までしか生じない場合は、1時間券でじゅうぶんでしょう。しかし、ホテルが旧市街から離れている場合は1日3回以上の移動が生じるでしょう。その場合は、24時間券が意味をなしてきます。1日券ではなく24時間券です。
滞在時間が長い場合は48時間券や72時間券のほうが割安です。72時間程度滞在する場合は、21ユーロで地下鉄、路面電車とバスが使えます。この場合、滞在中に7回以上公共交通機関を使う場合は、1時間券をその都度購入するよりも便利です。
詳細はGVB公式サイトにまとまっています。
場合によっては、Amsterdam Travel Ticketも視野に入れると良いでしょう。Amsterdam Travel Ticketはスキポール空港までの国鉄線で使うことが可能です。ただし、スキポール空港までは4.9ユーロですから、空港から市内への片道と市内観光であれば国鉄線は別払いしたほうが金銭負担は減ります。これについては、私の行動を基にした以下の例題を見てもらうほうがわかりやすいでしょう。簡単のために、(私たちは日本円で暮らしていますが)ユーロと円の相場は一定とし、支払いのタイミング差による為替相場の影響は受けないものとします。
例題. GVBの48時間券とAmsterdam Travel Ticketの損得計算
私は1日目の12時に中央駅からアムステルダム市内に入りました(アムステルダム中央駅まではユーロスターで移動)。そして3日目の11時にはスキポール空港からオランダを出国しました(アムステルダムの滞在は足掛け3日、正味48時間に満たない)。このような場合、以下の計算式が成立しましょう。
例1. GVBの48時間券とNS線の別払い
市内観光は48時間券(15ユーロ)+国鉄線の4.9ユーロ=19.9ユーロ
例2. Amsterdam Travel Ticketの活用
3日券の30ユーロ(2日券は2日目までしか使えないので3日券を購入する必要あり)
よって、空港に頻繁に行かない場合はGVBの24時間券(やそれに類するもの)を活用し、空港への往復は別払いのほうが良いでしょう。今回の例題は空港に1回行く想定でしたが、2回行く想定でもAmsterdam Travel Ticketを使わないほうが良いでしょう。
なお、チケットを持たない状態で路面電車に乗った場合、後ろドアから乗ると車掌さんからチケットを購入(※)することになります。このとき、24時間券しか販売しません。よって、24時間券以外を購入したい場合は、路面電車の車内以外、つまり地下鉄の駅などで購入する必要があります。
※後ろドアにはカウンターがあり、車掌さん専用のスペースがあります。
GVBの24時間券の購入方法
さて、GVBの24時間券の購入方法について記します。
写真2. アムステルダム中央駅の構内に入る
路面電車は走りながらの購入でスムーズなオペレーションが望まれるでしょう。オランダ初心者の私は落ち着いて買いたいと考え、地下鉄の券売機で購入することにしました(写真2)。
写真3. Buy GVB paper chipcardしか選べない
最初の画面はBuy GVB paper chipcardしか選べません(写真3)。場合によっては、下の言語表示をEnglishに変えると良いでしょう。
写真4. 目的の有効期間のものを選ぶ
目的の有効期間のものを選びます(写真4)。このあとに人数を選択する画面が右側に追加されます。その次は
写真5. クレジットカードを差し込む
最後にクレジットカードを差し込みます(写真5)。VISAブランドのエポスカードはここでも活躍しました。年会費無料なので、持っていても損はしません。
アムステルダムの市内交通に親しむ
さて、利用ガイド的な情報はここまでにして、実際に交通機関に親しみましょう!
アムステルダムの地下鉄
図3. アムステルダムの地下鉄路線図(wikipediaより引用、Alargule - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8047789による)
地下鉄の路線図を示しました(図3)。1列車の輸送量そのものは大きいですが、アムステルダムを観光客として移動する限り、乗る機会は意外とありません。
写真6. ロキン駅の地下鉄入口
ロキン駅の地下鉄入口です(写真6)。中心街の南側に位置しており、52号線(中央駅と南駅を結ぶ系統)が通ります。中央駅の1つ南よりの駅ですが、王宮などはこの間に位置します。欧州の地下鉄駅は入口に屋根がありません。
写真7. エスカレータを降りる
エスカレータを降ります(写真7)。日本よりも雨が少なく、この部分が露出している点が大きな違いです。
写真8. 自動券売機がある
自動券売機があります(写真8)。この使いかたは上の章で述べた通りです。
写真9. 自動改札機がある
自動改札機があります(写真9)。「外国の鉄道には改札がなく…」と知った顔で語る人には衝撃の光景でしょう。ドイツ語圏では改札がなくとも、オランダには改札があります。この点はフランスの地下鉄に近い気がします。
写真10. ホームに向かう
ホームに向かいます(写真10)。このあたりは日本の地下鉄に似たオペレーションです。駅が新しく感じますが、それもそのはず、52号線は新しく、2018年の開業です。
写真11. 北方向に向かう電車がやってきた
北方向に向かう電車がやってきました(写真11)。ブリュッセルの地下鉄に似た雰囲気を感じます。
(参考)写真12. ブリュッセルの地下鉄(ブリュッセル中央駅で撮影)
参考のためにブリュッセルの地下鉄も掲載しました(写真12)。
写真13. 52号線の車内
52号線の車内です(写真13)。プラスチックむき出しのシートが印象的でした。
写真14. 54号線の電車が停車中
52号線より古参の地下鉄が50、51、53、54号線です。中央駅には51、53、54号線がやってきます。この54号線はwikipedia先生によると郊外で国鉄と方向別複々線の駅があります。行けば良かった…。
路面電車
アムステルダム観光で最も親しむのが路面電車でしょう。
写真15. アムステルダム中央駅南側にやってくる2系統
アムステルダム中央駅の南側(=旧市街がある)には2系統と12系統ののりばがありました。
写真16. 2系統の後ろ姿
2系統の後ろ姿です(写真16)。
写真17. 入口のカードリーダーにタッチ
入口のカードリーダーにタッチします。
写真18. タッチするべきカード
タッチするべきカードです(写真18)。刻印がなされておらずやや不安でしたが、タッチすると有効か否かがわかります。
写真19. 車掌さんがいる
後ろのドアから入ると車掌さんがいます(写真19)。わからないことがあれば聞けば良いと思うよ!
この2系統は中央駅と繁華街を結ぶためか、利用率も高かったです。途中までの車窓を紹介します。
写真20. 再開発地区と旧市街の境界
アムステルダム中央駅が再開発地区と旧市街地区の境界で、左右で建物の感じが異なります(写真20)。
写真21. 旧市街を走る
旧市街を走ります(写真21)。
写真22. 電停を通る
電停を通ります(写真22)。
写真23. マグナ・プラザの前を通る
ダム広場周辺のマグナ・プラザ(高級ショッピングセンター)の前を通ります。ダム電停は広場の西側に2系統、12系統があり、東側に4系統と14系統が通ります。両電停は離れています。
写真24. 5系統、13系統と17系統が分岐
アムステルダム中央駅からダム電停まで共用してきた別系統が分岐します(写真24)。
写真25. 狭い道路をくねくね走る
狭い道路をくねくね走ります(写真25)。
写真26. 運河沿いを走る
アムステルダムは運河が多い都市です。そのため、路面電車に乗っていても運河に出会います(写真26)。
写真27. 運河を渡る
今度は運河を渡ります(写真27)。
写真28. 落ち着いた都市光景
落ち着いた都市光景のなかを走ります(写真28)。
その2系統の沿線で興味深い光景がありました。
写真29. 飲食店のぎりぎりを攻める路面電車
飲食店のぎりぎりを攻める箇所がありました(写真29)。
写真30. 路面電車が通過!
飲食店からの視点です。路面電車が通過しました(写真30)。「許可なく飲食店の中に入ってはいけないのでは?」という疑問もあるかもしれませんが、客として食事をしていたので、問題ありません。
放射軸と呼べるのが2系統や12系統であるとすると、環状軸と呼べるのが7系統でしょうか。
写真31. 7系統はそこまで混んでいない
7系統はそこまで混んでいませんでした(写真31)。
写真32. のどかな風景を走る
森もあるのどかな風景を走ります(写真32)。
写真33. 2系統よりも広々した道路を走る
2系統よりも広々とした道路を走ります(写真33)。
写真34. 横断する道路も広い
横断する道路も広いです(写真34)。旧市街はそのまま残し、そのほかの場所を開発しようという意図を感じました。
写真35. 国鉄線の下を通過
国鉄線の下を通過します(写真35)。
写真36. 旧市街と光景が明らかに異なる
旧市街と光景が明らかに異なります(写真36)。
写真37. C. van Eesterenlaanで降りる
C. van Eesterenlaanで降りました(写真37)。このときの目的地はピトン橋ですね!
アムステルダムの都市交通に触れてみて
写真38. 道幅の関係で4系統には単線区間もある
今回はアムステルダムの市内観光のために路面電車を中心とした交通機関に乗りました。他の都市と異なり、路面電車の車内に車掌ゾーンがあることが印象に残りました。
また、路面電車網が発達しており、単なる娯楽や客寄せパンダとしてではなく、実用的な交通機関として機能している場面も確認できました。
一見して複雑な交通網ですが、それはアムステルダムとその利用者にとって必要な流動に合わせて整備した結果と理解できます。(私が見た限り)オランダは合理性を重視する国です。合理的な交通網をこれからも維持してもらいたいものです。
重要アムステルダムのホテルは決まっていますか?比較的静かでありながら中心部とそこまで離れていない立地のこのホテルはいかがですか。詳細は以下の記事に書いています。
Hotel Espresso City Center(アムステルダムのホテル)の宿泊記
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)アムステルダムのピトン橋を楽しむ
アムステルダムの都市交通(市内交通):現在地
アムステルダム中央駅を楽しむ(→次)
★アムステルダムの観光の全容についてはアムステルダムの街歩き観光(気温も記載)をご覧ください。