スイスで一番大きい駅、チューリッヒ中央駅。ここはスイス国内の拠点であるばかりか、スイスに隣接する主要4か国(イタリア、フランス、ドイツ、オーストリア、隣接するリヒテンシュタインは通過列車のみ)のみならず、ハンガリーなどの遠方にも足を延ばす列車が運転されています。そのチューリッヒ中央駅を楽しんでみました。また、構内図などの実用的な情報も収録しています。

写真1. 荘厳なチューリッヒ中央駅の駅舎
情報本記事は2019年に投稿したものですが、後の2023年5月訪問と2025年8月訪問の記録を含め、2025年11月に内容を大幅にアップデートいたしました。
復習:チューリッヒとチューリッヒ中央駅の概要
最初にチューリッヒという都市の位置やチューリッヒ中央駅の概要を紹介します。
図1. チューリッヒの位置(googleマップより引用)
チューリッヒの位置を示します(図1)。スイスの中心にあるようなイメージがありますが、実はチューリッヒはスイスの北東部に位置します。また、スイスの首都というイメージがありますが、首都ではありません。首都はベルンです。ただし、首都ではなくとも人口は多く、人口は40万人近くあり、スイスで一番の大都市です。
なお、近隣のドイツはベルリンが人口360万人、フランスはパリが人口220万人、オーストリアはウィーンが190万人、イタリアはローマが280万人を数えますが、それらよりも1桁少ない人口であることには注意が必要です。スイスにはスイス語はなく、地域によってドイツ語、フランス語、イタリア語などでわかれています。チューリッヒはドイツ語が話される地域です。
図2. チューリッヒ中央駅の位置(googleマップより引用)
このチューリッヒの鉄道の玄関口はチューリッヒ中央駅です。パリやブダペストとは違い、中央駅があります。ターミナル駅が分散していると「ここに行くにはこのターミナル駅に行く」という手間が生じ、乗りかえも手間がかかります。一方、中央駅に集まるとそのような手間は発生しません。この点は大いに誇れることでしょう!
また、ファン的には中央駅に行けばいろいろな列車が見られるという点も魅力的です。さらに魅力的なのは、チューリッヒ中央駅が都市の中心に近いことです。ベルリン、プラハ、ウィーンは中央駅(プラハは本駅)がありますが、中心部からやや離れています。これはチューリッヒの人口が40万程度であることもその要因でしょう。

図3. チューリッヒ中央駅の全体像(スイス国鉄公式サイトより引用)

図4. チューリッヒ中央駅の0F部分(スイス国鉄公式サイトより引用)

図5. チューリッヒ中央駅の地下部分(スイス国鉄公式サイトより引用)

図6. チューリッヒ中央駅の地下部分(スイス国鉄公式サイトより引用)
構内図も示しました(図3~図6)。地上部分に1か所、地下に3か所のホーム群があります。整理すると以下の通りです。
- 地上:3番線~18番線
- 地下:21番線・22番線、31番線~34番線、41番線~44番線
非常に簡単にいうと、ホーム番号が21以降の場合は地下のホームから発車するということです。地上ホームは1番線~16番線に直したほうがわかりやすいとは思いますが…。
なお、3番線~18番線は頭端式ホームのヨーロッパのイメージに近いターミナル、地下ホーム(30番台、40番台)は通過式のターミナルで、チューリッヒをスルーする列車の運転も可能です(20番台は特定の近距離電車が発着するホームです)。

図7. チューリッヒ中央駅にやってくる系統(スイス国鉄公式サイトより引用)
チューリッヒ中央駅にやってくる系統を示しました(図7)。
チューリッヒ中央駅を実際に楽しむ
御託はこの程度にして、いよいよそのチューリッヒ中央駅を楽しみましょう。
チューリッヒ中央駅の構内

写真2. チューリッヒ中央駅の正面(25年夏に撮影)
チューリッヒ中央駅の正面です(写真2)。

写真3. リマト川側からチューリッヒ中央駅を眺める(23年5月に撮影)
リマト川方向からチューリッヒ中央駅を眺めます(写真3)。

写真4. 駅舎のなかは空間が広い(23年5月撮影)
駅舎のなかは空間が広いです(写真4)。

写真5. 駅舎の先はホームがある(23年撮影)
駅舎の先はホームがあります(写真5)。

写真6. 頭端部の様子
頭端部の様子です(写真6)。大型の発車標が目立ちます。ヨーロッパの駅の発車標は方向別ではなく、日本の空港のようにあらゆる列車が一体で表示されます。

写真7. 頭端部の様子
ホーム側から頭端部の様子を撮影しました(写真7)。

写真8. ホーム側から駅舎側を眺める
ホーム側から駅舎側を眺めました(写真8)。2019年夏、2023年5月、2025年夏の3回行っていますが、3回ともがらんとした空間でした。

写真9. 駅舎側から地下に降りる(25年夏に撮影)
駅舎側から地下に降ります(写真9)。

写真10. 地下のコンコース(25年夏に撮影)
地下のコンコースです(写真10)。

写真11. 地下には斜行エレベーターもある
地下に向かうには斜行エレベーターもあります(写真11)。

写真12. 地下のコンコースの様子
地下のコンコースの様子です(写真12)。

写真13. 地下のコンコースの様子(25年夏に撮影)
地下のコンコースの様子です(写真13)。このときは夕方とあってか多くの人でにぎわっていました。25年夏に訪問した際は、このコンコース内のスーパーマーケットを重宝しました。
チューリッヒ中央駅にやってくる列車
駅の主役といえば何でしょうか?駅構内の商店街でしょうか?人によっては駅に出入りする人々の物語というのでしょうか?でも、駅は列車に乗るところという機能を考えると、駅の主役といえば列車と考えることが自然です。その主役を見てみましょう。

写真14. 発車標を眺める(25年夏)
発車標を眺めます(写真14)。スイス国鉄の長距離列車はタクトダイヤを採用しており、主要駅を毎時00分や30分近辺に発着を集中させ、どの方向からどの方向へも乗りかえが比較的便利になるように工夫されています。したがって、毎時00分付近にICやIRが多く発着しています。

写真15. 夜行列車が到着
夜行列車が到着しました(写真15)。この列車はウィーン発のナイトジェットとブダペスト発のユーロナイトが併結されています。私がこの列車に乗っていました。

写真16. ハンガリー車が回送される(23年5月に撮影)
ハンガリー車が回送されました(写真16)。

写真17. ベルリンからの夜行列車が到着(23年5月に撮影)
ベルリンからの夜行列車が到着しました(写真17)。オーストリアを1mmも通りませんが、オーストリア国鉄による運転なので、オーストリア国鉄車が連結されています。2回目のスイス旅行はこの夜行列車からスタートしました。

写真18. スイス国鉄の1等車も連結(23年5月に撮影)
スイス国鉄の1等車も連結されています(写真18)。逆にドイツ国内を多く通るのに、ドイツ鉄道車は連結されていませんでした。

写真19. プラハ発も連結される
プラハ発の車両も連結されます(写真19)。プラハ発はチェコ車です。このような夜行列車の運転により、スイスにも中央ヨーロッパの車両が乗り入れるのです。

写真20. 展望車による国際列車も停車中
展望車を連結した国際列車も停車中でした(写真20)。

写真21. あこがれの展望車!
あこがれの展望車です(写真21)。この車両は特別な料金は必要ありません。通常の1等車として運用されています。

写真22. オーストリア車とスイス車が連結される
この列車にはオーストリア車も連結されていましたので、オーストリアへの直通列車です(グラーツ行き)。
この列車を見かけて6年後、この展望車に本当に乗車しました。オーストリアの風光明媚な風景を堪能しました。
レオーベンからシュタイナハ-イルドニングまでのユーロシティ(EC)旅(25年夏)

写真23. クール行きIC3にICEが運用されていた
クール行きIC3にICEが運用されていました(写真23)。折り返しハンブルク行きなので、その間合い運用でドイツ鉄道車が使われたのでしょう。

写真24. どう見てもドイツ車
側面を見るとDBマークがあります(写真24)。DBはドイツ鉄道のことです。決してスイス車ではありません。

写真25. ドイツ方面のICEは車両が置き換わった(23年5月に撮影)
私が見た限り、2023年にはICEの車両はICE 1からICE 4に置き換わっています(写真25)。

写真26. スイス車によるユーロシティも見える(25年夏に撮影)
スイス国内に国外の車がいると目立ちますが、当然ながらスイス車のほうが主力です。スイス車によるユーロシティも見えます(写真26)。

写真27. クールから到着したIC(左)とミラノ行きユーロシティ(25年夏)
クールから到着したICとミラノ行きユーロシティが対面で停車しています(写真27)。チューリッヒからミラノまでのユーロシティは高速化対応の電車に置き換わっています。一方、25年夏の段階では、クール方面は昔ながらの客車列車が活躍していました。

写真28. ミュンヘンからのユーロシティが到着!(23年5月に撮影)
ミュンヘンからのユーロシティが到着しました(写真28)。この列車は観光列車というよりもビジネス列車という感じでした。オーストリア国内をかすめるため、3か国をまたぐ列車でもあります(言語は終始ドイツ語圏ですが)。

写真25. バーゼル行きが到着!(23年5月に撮影)
ヨーロッパは機関車けん引列車も多いですが、近年は電車方式も多く採用されています。その電車2階建て車両によるバーゼル行きが到着しました(写真25)。

写真26. ロマンスホルン行きが到着(23年5月に撮影)
IC8系統のロマンスホルン行きが到着しました(写真26)。首都ベルンと最大都市チューリッヒをノンストップで結び、西側はスイス有数の観光地ツェルマット連絡のフィスプやブリークへ、東側は北東部のロマンスホルンに伸びています。このころは旧塗装から新塗装への切り替え途中でしたので、旧塗装と新塗装が混在しています。

写真27. 地下ホームからのローザンヌ行き
地下ホームにローザンヌ行きのIC5系統が停車していました(写真27)。

写真28. ローザンヌ行きが停車中
ローザンヌ行きが停車中です(写真28)。この系統はベルンを通らずにローザンヌ(や2019年時点ではジュネーブ)を結ぶ系統です。2024年12月にジュネーブ行きはローザンヌ行きに振り替えられ、ローザンヌまで30分間隔が実現しました。ジュネーブへはローザンヌ手前で接続列車に乗りかえる必要があります。

写真29. IC5系統のロールシャハ行き(23年5月に撮影)
同じくIC5系統のロールシャハ行きです(写真29)。25年11月時点では、ザンクト・ガレン方面はこの車両による速達型ICが30分間隔(半数はロールシャハまで運転)で運転されます。停車駅を削減することにより、振り子式車両による速達性をじゅうぶんに発揮している印象です。この区間にはIC1系統も通っていますが、(高速新線建設により振り子車両がかえって不要であることから)速度が遅く、停車駅が多いです。車両の特性を活用している印象です。

写真30. IRによるベルン行き(23年5月に撮影)
ベルン方面はIC1系統やIC8系統がノンストップで結びます。途中駅のフォローは別方向に向かうICやIRによってなされます。そのうちの1系統のIRを撮影できました(写真30、というよりこの後に乗りました)。

写真31. 都市圏は2階建て車両による運転
都市近郊列車のREが停車しています(写真31)。日本ほど人口密度が高くないので、2階建ての車両を投入して座席供給に主眼を置いています。延々とロングシート車を走らせる日本が異常なのでしょう。ただし、日本が異常といっても、そうしないと乗客をさばけないという現実は直視せねばなりません(都市圏の人口が大違いです)。

写真32. 40番台はSバーンのりば(25年夏に撮影)
40番台のホームはSバーンのりばです(写真32)。地下線の2面4線であり、続々と列車がやってきます。名鉄名古屋の2面4線バージョンというとイメージしやすいでしょうか。チューリッヒ空港に向かう場合もSバーンが便利です(ICなどでも料金は変わりませんが…)。

写真33. 41番線~44番線を見渡す
41番線から44番線を見渡します(写真33)。

写真34. 地下の21番線と22番線
地下の21番線と22番線です(写真34)。ここはチューリッヒ中央駅を発着する一部のSバーンだけのホームです。スイス国内の移動やチューリッヒ国際空港への行き来で使う機会がなく、見落とされがちなホームでしょう。

写真35. S10系統が停車中
S10系統が停車中です(写真35)。
チューリッヒ中央駅をはじめとするスイスの駅には改札がありません。そのため、興味深い出入口があります。

写真36. 3番線に停車している左側では…
3番線に列車が停車しています。スイスではよく見かける機関車です。それはそれで良いですが、ホームの左側を見てみましょう。
ホームと道路の区別がわかりにくくなっています(写真36)。そう、重厚な駅舎を通らなくとも駅に直接アクセスできるのです。スイスの多くの駅はこのような構造です。どこからでも駅に入れて列車に乗れるのは非常に便利です。駅はあくまでも列車に乗るための場所であり、簡単に乗れるほうが駅の機能としては優れています。ただし、これはスイスの治安が良いためでしょう。治安が悪ければ通行を制限するしかありません。

写真37. 駅前にはトラムも発着
駅前にはトラムが発着しています(写真37)。ここでもなるべく歩かせないようになるべく駅に近づけていました。多摩都市モノレールがことごとく乗りかえを不便にしていることとは全く対照的です。
チューリッヒ中央駅のまとめ

写真38. 駅舎を通らずとも駅に入れる
チューリッヒ中央駅は大きい駅でありながら、極力乗客を歩かせないようなシステムが確立していました。私が次の列車に乗るためにエレベーターを使って地下に向かいましたが、やや斜めに動いていました。これもなるべく歩く距離を減らすための工夫といえましょう。
また、中央駅の容量が不足した際に、地下に通り抜けのホームを増設して、オペレーションを改善(方向転換の削減)させつつ、処理能力を上げました。多くの都市では新駅を建設してそこに一部の列車を逃がすという手法をとることでしょう。それでは既存の市街地では不便なままです。そのような不便なことをせずに愚直に中央駅の改良を行っている姿勢も称賛されるものです。このように、スイスの鉄道は素晴らしいオペレーションで、便利にすることに力を注いでいます。その一側面を見られるのがチューリッヒ中央駅でしょう。
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スイスではどのように鉄道旅行を楽しめば良いのでしょうか。初心者向けの情報から裏技まで収録しました。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
★2019年夏の旅行
(←前)ユーロナイトに乗る(ブダペスト→チューリッヒ、19年夏)
チューリッヒ中央駅を楽しむ(19年夏~25年夏):現在地
チューリッヒからローザンヌへの特急の旅(スイス、インターシティ、19年夏)(→次)
※この旅行の全体像はハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返りをご覧ください。
★2025年夏の旅行
(←前)クールからチューリッヒへの列車旅(IC)(25年夏)
チューリッヒ中央駅を楽しむ(19年夏~25年夏):現在地
ホテル ツーリ バイ ファスビント(Hotel Zuri by Fassbind)(チューリッヒのホテル)の宿泊記(25年夏)(→次)
※この旅行の全体像は25年夏中欧・イタリア旅行のまとめをご覧ください。